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中国全人代が開幕 温首相、最後の活動報告

2013年3月6日 9:14

 日本の国会にあたる中国の全人代(=全国人民代表大会)が5日、開幕した。今回の大会で第一線を退く温家宝首相が最後の活動報告を行い、未解決の課題について、次の指導部に速やかな解決を促した。

 温首相は報告で、中国が世界第2位の経済大国に成長したことや、初めての空母が就航したことなどの功績を次々と挙げ、「共産党が正しく指導した賜(たまもの)だ」と評価した。一方で、これまで繰り返し訴えてきた所得の格差や官僚の腐敗といった問題が解消できなかったことを認め、次の指導部に速やかな解決を促した。

 「我々は国家と人民に対する強い責任感を持って、諸般の活動に一層力を注ぎ、問題を速やかに解決する」-温首相は08年に四川大地震が起きた際に被災地に入り、被災者を気遣う姿勢から「人民総理」の愛称で慕われる一方、現場で涙ぐむ姿を見せても問題の根本的な解決に至らないことへの不満から「俳優王」と揶揄(やゆ)されるなどしていた。

 改革への思いや理想を訴える姿への期待感と、結果が伴わなかった失望感の両面で評価される温首相は、次の指導部に「偉大な祖国にかつてない程、明るい展望が開けている」とエールを送った。

 温首相は今回の全人代をもって第一線を退くが、課題解決が容易ではなかっただけに、新指導部がどれだけ取り組めるかは不透明。