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撤退期限迫る シリアの隣国から記者報告

2012年4月11日 2:32

 政府軍による反体制派への攻撃が続き、1万人以上の市民が犠牲となっているシリアで、アサド政権は10日までに市街地から軍を撤退させることに同意していたが、戦闘が終息する気配は見られない。シリアの隣国、レバノンの首都・ベイルートから、富田徹記者が最新情報を報告する。

 日本時間10日午後11時現在、アサド政権の軍が全面撤退し始めたという情報はない。アサド政権と反体制派は、それぞれ仲介に乗り出しているロシアなどと会談したが、双方が「相手が確実に攻撃をやめるまでは停戦できない」と主張しており、即時停戦の実現は非常に厳しい状況となっている。

 むしろ戦闘は激しさを増しており、9日には国境付近でジャーナリストがシリア軍に撃たれて死亡するなど、緊張が高まっている。

 軍の撤退や停戦期限が守られない場合、リビア内戦のときのように欧米が軍事介入をするかというと、現時点では難しい状況。リビア内戦と違い、シリアではアサド政権が反体制派を軍事的に圧倒している。また、反体制派も一枚岩ではない。さらに、ロシアや中国が武力介入に強く反対するなど各国の対応も分かれている。アサド政権の強気の姿勢もこうした状況を見越したもので、次の一手が見えない中で流血に歯止めがかからない展開も予想される。

 国連などは、日本時間12日正午までの完全停戦を求めている。これが実現するのか、国際社会が注視している。