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最大の懸念は消費増税~流通業界14年展望

2014年1月2日 11:26

 2013年は「アベノミクス効果」もあり、デフレ脱却の兆しが見えた流通業界。しかし、2014年は4月に消費税増税を控える。改善傾向の消費が腰折れにならないよう、各業態とも戦略を練る。

 ●百貨店
 2013年、アベノミクス効果が顕著だった百貨店。年初から宝飾品や美術品、高級ブランド品など高額商品を中心に売り上げを伸ばした。こうした動きは当初、富裕層に限られていたが、2013年後半には冬のボーナス増額への期待などから消費意欲が高まり、日本百貨店協会は「中間所得層にも高額品の購入が広がってきた」とみている。

 2014年も3月までは、消費増税前の駆け込み需要で好調が続く見込みだ。しかし、4月以降は反動減が予想されている。百貨店で販売する商品の多くは生活必需品ではないため、スーパーやコンビニエンスストアなどと比べ、反動減も大きくなりやすい。このため各百貨店とも、より少ない人数でサービス向上を図るなど効率化に力を入れている。

 一方、明るい要素もある。外国人観光客の増加だ。外国人が免税で買い物をする場合、消費税の増税は関係ない。訪日外国人の数は、東日本大震災や日中関係の悪化などで一時落ち込んだが、2013年は特にタイやマレーシアなど東南アジアからの観光客が急増、初めて1000万人を超えた。2020年の東京オリンピック開催が決定したことで、今後も外国人観光客の増加が期待されている。

 ●コンビニエンスストア
 東日本大震災以降、コンビニエンスストアは客層を従来の若者層からシニア・主婦層に拡大し、好調が続いている。ここ数年はセブンイレブン、ローソン、ファミリーマートの「3強」を中心に出店数を大きく伸ばしており、2012年には業界で「国内の店舗数の限界」とされていた5万店を超え、2013年はさらに3000店以上が新たに出店した。

 店舗の増加により競合店も増える。競争を勝ち抜くため、各社が注力するのがプライベートブランド(=PB)商品の開発だ。PB商品は従来、「大手メーカー品より安く買える商品」という位置づけだったが、各社が今、力を入れるPBは「価格は高いが、素材や品質にこだわった商品」。業界最大手であるセブンイレブンの親会社、セブン&アイ・ホールディングスの村田紀敏社長は「販売減少を食い止めるには、商品の差別化しかない」と話し、食品だけでなく、衣料品などでもPB商品の開発をより強化するとしている。消費税率がアップしても、価格が高くても、消費者に選んでもらえる商品を数多く作ることで、価格競争に巻き込まれずに販売を伸ばす戦略だ。

 ●スーパー
 食品や日用品などを扱うスーパーは、景気浮揚の恩恵がなかなか売上高などの数字に表れなかったが、2013年後半には徐々に改善が見られた。日本チェーンストア協会が毎月発表する全国のスーパーの売上高は、8月以降、21年ぶりに4か月連続で前年同月比プラスとなった。同協会は「(消費は)力強いとはいえないが、持ち直してきた」とみている。

 2013年秋以降は、消費増税前の住宅購入に伴う家具や家電などの購入も増えている。

 2014年の懸念は、やはり4月の消費増税後の消費の腰折れ。より安い商品を求めて100円ショップやファストファッションなどに客が流れる可能性もある。また、出店数を伸ばすコンビニエンスストアとスーパーが競合する地域も増えており、ますます競争が激化することが考えられる。