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“同性婚”特需に沸く米・カリフォルニア州

2013年8月9日 15:16
“同性婚”特需に沸く米・カリフォルニア州

 2013年6月、アメリカで、同性同士の結婚に関するある判決が出された。この判決を受けて西部カリフォルニア州では、ちょっとした特需に沸いている。

 同性同士の結婚をめぐってアメリカの連邦最高裁が初めて下した判決に、ワシントンに集まった多くの人々が歓喜の声をあげている。その場にいた同性婚を支持する女性がこう語った。

 「とても大きな出来事です。でもまだ第一歩、道のりは長い」

 アメリカは、一部の州と首都ワシントンを除き、同性同士の結婚が認められていない。国のレベルでは、結婚を男女間のものと規定した法律“結婚保護法”もあり、同性のカップルは配偶者控除などの優遇措置の対象外になっている。このため、同性カップルが男女のカップルと同等の権利が得られないのは不当だとして、訴訟になっていた。そして今回、連邦最高裁が下した判決では「同性婚を認めないことで、国家が保護すべき基本的な人間関係の安定を損なっている」などとして、違憲の判断をしたのだ。

 西部カリフォルニア州、映画の都・ハリウッドの隣にあるウェストハリウッド市は、人口約3万人だが、何とその4割が同性愛者という全米でも有名な街だ。横断歩道も、同性愛者のシンボルとされる虹色で彩られている。判決を多くの人たちと祝福しようと、約1000人が広場に集まり、街中がお祭りムードに包まれた。同性のカップルたちは「喜びという言葉を超えています。ようやく平等の権利を手にすることができました」「とても興奮しています」「すぐに法律的に結婚します。13年待っていたんですから」と歓声をあげていた。判決の2日後には、カリフォルニア州でも同性同士の結婚が認められることになり、役所には婚姻届を持った同性カップルが長い列を作った。

 この日を待ちわびた同性カップルたちの結婚ラッシュが、早くも地元に大きな経済効果をもたらし始めている。ウェストハリウッド市にある小さなケーキ屋では、同性カップル向けに作ったウェディングケーキが評判を呼び、注文が殺到している。休む暇もないという。オーナーのトム・ローザさんは「判決が出た後、すぐに電話が鳴り始めました。『結婚したんです』ってね」と語る。17年間交際を続けてきたという男性カップルの特注ウェディングケーキは“とびきりクラシックかつゴージャスに”という要望で、予算は日本円で約4万円だそうだ。ある大学の試算では、カリフォルニア州で今後3年間に3万7000組の同性カップルが結婚し、これにより、約500億円のお金が動くと見込まれている。

 しかし、同性婚をめぐっては保守派を中心に根強い反対論があり、国を二分して議論が続いている。反対派の男性はこう語る。

 「アメリカは異常な国になりつつある。神の道徳規範を置き去りにして自分勝手にやっている」

 同性婚を支持する意見が以前よりも増えたとは言え、賛成が52%、反対が43%と、世論調査では反対する意見も多いのが実情だ。今後、同性同士の結婚を容認する流れが加速することになるのか、注目される。