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最新予測…東京感染1日「約5000人」も

2022年1月7日 13:17
最新予測…東京感染1日「約5000人」も

新型コロナウイルスのオミクロン株により、多くの地域で感染者が増えています。都内では3月末に1日の新規感染者が5000人近くになるという最新の試算もあります。第5波と違った医療現場への影響、必要な行動制限について、最前線の医師に聞きました。

■最新予測…都内「5000人近く」に

有働由美子キャスター
「6日の東京の新型コロナウイルス新規感染者は641人でしたが、これからどこまで増えていくのでしょうか。5日に試算されたばかりの最新のシミュレーションがあります」

「名古屋工業大学の平田晃正教授のグループによる試算で、都内の1日の新規感染者数は2月に入ると2000人を超え、3月の末には5000人近くまで増えるという予測です。オミクロン株の感染力を(従来の)1.5倍と想定し、感染が拡大している沖縄からの年末年始の人の流入も加味されています」

■岡教授が懸念…「第5波」再来も

「埼玉医科大学総合医療センターの岡秀昭教授に伺います。(シミュレーションによると)東京は5000人近くまで増えるということです。オミクロン株は重症化率が低いと言われていますが、医療現場としての受け止めは?」

岡教授
「現在、私たちの現場はごくわずかな、デルタ株が中心の患者さんの紹介がある状況で、大変ゆとりがあって、まだ落ち着いています」

「しかし、沖縄や海外の事例で(分かるように)、オミクロン株が主流になっていくと倍加、倍々、日に日に患者が増えていく。そして40%ほど重症化率が低い、つまり0.6倍としても、患者の数が2倍になると、1.2倍の重症者が生まれます」

「今までの第5波の患者数以上の感染者が出ると、やはり医療のひっ迫が起こります。第5波の状況がまた来るのではないかという、怖い気持ちで準備しています」

■「ブースター接種」進まず…影響は?

有働キャスター
「現場で働く医療従事者への影響は?」

岡教授
「オミクロン株の第6波の特徴になるのではと懸念していますが、医療従事者や高齢者は第5波の時、ワクチンで強く守られていました。2回接種が終わって効果が高い時期でしたので、クラスターが起きにくかった」

「ところが今回は2回接種から半年以上たち、予防効果がかなりない状況になります。まだ3回目のブースター接種が進んでいない。ということは、医療従事者の感染が起きてきます。そうすると、感染者や重症者がそれほどではなくても、医療が提供できなくなる」

「あるいは体力の落ちた院内の患者に感染すると、重症者が生まれ、それによっても医療が供給できなくなってしまう。そういう新しい、第6波特有の医療危機、医療供給体制の低下・ひっ迫が起こってくる心配があります」

■改定の動きも…「パッケージ」に想定外

有働キャスター
「予測のグラフはもう1本あります。2月中旬以降は上がり方が少し緩やかになっているものです。これは、沖縄からの人の流入などは考慮されていませんが、都が例えば飲食店に時短営業を要請するなど、2月1日から行動制限をお願いした場合の想定です」

「やはり行動制限がカギを握りそうですが、政府は『まん延防止措置』についてどのような考えなのでしょうか?」

小栗泉・日本テレビ解説委員
「政府高官は、『まん延防止措置は3週間後に病床使用率が50%に達するというのが1つの目安。まだ東京のペースではほど遠い』と話しています。東京の6日時点の使用率は病床7%です」

「ただ、ある官邸関係者は『この先成人式もあるから、そこでの拡大も心配している。岸田首相の言う先手先手になると、早めに対応すべきだ、となる』と言います。地元の知事が要請すれば、すぐにまん延防止措置の適用を検討するという姿勢です」

有働キャスター
「ただ、こういう時にも経済を回すために『ワクチン・検査パッケージ』を準備してきたのではないでしょうか」

小栗委員
「そうです。官邸ではそのパッケージを改定しようという動きがあります。これは、緊急事態宣言やまん延防止措置が出された地域でも、ワクチンの2回接種や検査での陰性証明があれば、飲食店やイベントの人数制限などを緩めるという措置でした」

「ただ、オミクロン株を想定していなかったことから、ある官邸関係者は『ワクチンを2回接種してもブレークスルー感染しているわけだから、オミクロン感染の下では、パッケージがあっても厳しくすると、基本的対処方針に盛り込もうと話している』と明かします」

■岡教授「パッケージと別の基準を」

有働キャスター
「行動制限はどこまで必要だと考えますか?」

岡教授
「政府の関係者がおっしゃる通りで、今までのワクチン2回接種でなぜパッケージになるかと言えば、デルタ株に対して2回接種でそれなりの予防効果があるからです」

「ところが2回接種してオミクロン株(の拡大)になると、時間がたってしまい、予防効果がないわけです。そのパッケージは、感染していないということを担保しない。そうすると、やはり別の基準が必要になってきます」

「つまり『ブースター接種を』ということですが、医療従事者や高齢者すらまだ終わっていないので、それをパッケージにするわけにはいかない。とすると、一時的に何かしらの行動制限も、感染状況によっては考慮しないといけなくなるのではないかと思います」

■英の対策、岡教授「慎重な判断を」

廣瀬俊朗・元ラグビー日本代表キャプテン(「news zero」パートナー)
「海外の事例を見ると、イギリスでは感染拡大していますが、極端な行動制限はしていない状況かなと思います。日本でもそういった選択肢はあり得るのでしょうか?」

岡教授
「イギリスが今やっている方法は、イギリス自体も模索していて、これがうまくいくか分からないところではないかと思います。これが今後、本当に成功していくのか見届けないといけません」

「また、感染者の数がイギリスと日本では全く違います。日本はまだ、今対策をしっかり取れば、被害を抑えていくことができます」

「そして医療供給体制も違う。日本は重症者の医療が非常に脆弱です。第5波のような状況でも医療逼迫しました。(医療資源に)大きな上積みはありませんので、イギリスのような対策を取って良いかどうか、慎重な判断が必要だと思います」

有働キャスター
「あらためて、私たちにできることを教えてください」

岡教授
「オミクロン株に代わるということであれば、ブースター(接種)が重要になりますが、多くの国民にまだ届かない状況だと思います。であるならば、やることは同様になります」

「3密を避ける、マスク着用、そういったことをもう一度見直していただきたい。年始になって、新年会や成人式があります。成人式自体は構わないと思いますけど、その後集まって盛り上がるのは、ちょっと自粛が必要な状況になってきたのではないかなと思います」

(1月6日『news zero』より)