×

外環道工事の陥没 振動の地盤への影響は

2021年12月14日 17:21
外環道工事の陥没 振動の地盤への影響は

去年10月に東京・調布市で起きた外環道地下トンネル工事による道路の陥没事故で、NEXCO東日本らは14日、新たな調査結果を発表し、トンネル工事の真上以外の地盤には緩みはないと、改めて強調しました。



去年10月、東京・調布市で住宅街の道路が陥没し、その後、地中で3つの空洞が見つかった問題。

当時、空洞が見つかった場所の真下では、NEXCO東日本が直径およそ16メートルのカッターを装着した掘削機を地下で組み立て、トンネルを掘り進めていました。陥没の原因について、NEXCO東日本は“工事で土砂を取り込みすぎたこと”と説明していました。

NEXCO東日本はこれまで、トンネルの真上については補修工事を行っています。しかし、「トンネルの真上以外でも被害が出ているのではないか」との声が住民から上がっています。

工事現場の周辺の住民
「快適に生活してきた住民は、突然の絶え間ない騒音・振動に襲われた」

周辺でも振動や壁のひび割れがみられるなどと主張していました。事故は工事の振動によるもので、トンネルの真上以外でも地中に空洞が生じているのではないかと住民は不安を抱いていました。

さらに、地盤工学の専門家の中には独自の調査を行い、「地盤に異常な隙間が確認された」などとして、「振動によって隙間が生じ、地盤が緩んだのではないか」という見解を示す人も出ていました。

こうしたことを受け、NEXCO東日本は先月から工事の真上以外のところでも調査をしていました。

その結果について、NEXCO東日本は14日午後、会見を開き、こう説明しました。

NEXCO東日本の会見
「トンネル掘進に伴う振動によって、地盤を弱めたという事実は確認されませんでした」

今回の調査で撮影された映像には、地盤の強度の調査に加え、サンプルを採取して、運び出す様子が映っています。研究施設に運び込まれた後、X線などを使い、地中に異常な隙間などが生じていないか確認したということです。

一連の調査の結果、NEXCO東日本は「地盤には異常な隙間はみられず、振動を加えても異常な隙間は確認されず、工事の振動による影響はなかった」と結論づけました。

一部の専門家がトンネルの真上以外でも振動で隙間が生じていたと主張していることについては、NEXCO東日本側でも再現実験を行い、この隙間は専門家が調査をした際に生じたと結論づけています。

関係者によると、NEXCO東日本は今回の調査結果をふまえて、トンネルの真上の地盤を2年ほどかけて修復し、その後の工事再開を目指しています。