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韓国で話題“日本へ疑似旅行”神社や旅館も

2021年11月20日 17:06
韓国で話題“日本へ疑似旅行”神社や旅館も

韓国のソウル郊外に、日本の街並みを再現した観光施設が登場。新型コロナウイルスの影響で自由な海外旅行が難しい中、手軽に日本の雰囲気を楽しめる“インスタ映え”スポットとして、韓国の若者の間で話題になっています。日本の成人向け雑誌まで置かれた“リアル過ぎる”内部とは─。

■日本への“疑似旅行” インスタ映えで若者に人気

ソウルから車でおよそ1時間半の東豆川(トンドゥチョン)の山あいにある施設『にじもりスタジオ』。日本風の建物や店舗が並び、連日、多くの韓国の若者が訪れています。もともとはドラマや映画などの撮影用に作られたスタジオでしたが、今年9月に一般の人も入れる観光施設としてオープンしました。

にじもりスタジオ運営会社 チェ・スジャ代表
「最初はドラマを撮るために作られました。普通のセットは撮影1回ごとに無くなりますが、それを活用して一般客を入れました」
「日本という国は、我々と切り離せません。ドラマや映画の要素としても切り離せません」

日本への旅行が自由にできない中、今、ここが手軽に日本の雰囲気を楽しめる“インスタ映え”スポットとして韓国の若者の間で話題になっています。入場料は約2000円(2万ウォン)で、19歳未満の入場はできません。


■着物の体験 1泊8万円の旅館にはひのき風呂も

施設内では着物や浴衣をレンタルでき、日本のような雰囲気の写真を撮ることができます。レンタル料金は約3000円(3万ウォン)と入場料よりも高い設定ですが、カップルなど多くの若者が着物姿を楽しんでいました。

初めて着物を着た女性
「SNSを見て母親と来ました。新型コロナのせいで、海外旅行にも行けないから、雰囲気を感じるために来ました。着物は思ったよりも着るのに手間がかかりました」

また、施設内には今月から旅館もオープンしました。照明器具は変圧器を通して日本のものを使用したり、家具も実際に日本で使われていたものを取り寄せたりして、本格的な日本の雰囲気を演出しています。
値段は1泊 約5万円から8万円と高額ですが、ひのき風呂が備わった部屋まであります。

旅館に友だちと宿泊していた女性客
「いつも春に友だちと東京に行っていましたが、新型コロナが約2年続いて、日本へ旅行したいけど行けない中で、インスタグラムでここを見つけてきました」


■お城も建設中 書斎の奥には“成人向け雑誌とビデオ”まで

施設は未完成で、敷地の中では、“城”や“宴会場”の建設が進められています。

取材したのは平日月曜日の昼でしたが、若者を中心に数百人が訪れていました。
週末には1500人ほどが訪れることもあり、駐車場待ちの車列ができるといいます。

日本のアンティーク家具に囲まれてあんパンを食べられるカフェや、韓国ではなかなか食べられない日本式の味噌ラーメンを提供する店もあります。ラーメンは1杯約1200円とやや高めですが、平日でも昼時は満席になるほどの賑わいでした。

さらに、日本の書籍を集めた書斎風スペースも。奥に入ると、なぜか日本の古い成人向け雑誌やビデオまで置かれていました。


■施設の是非めぐりネットでは議論も “日本統治”の象徴 神社も

日本への“複雑な感情”が交錯する韓国。日本を再現した施設の是非めぐって、一定の議論もあります。韓国のコミュニティサイトでは、「なぜ施設をあえて作ったのか」と疑問の声が上がる一方で、「そもそも撮影のセットで、文化に善も悪もない」など意見が交わされています。

また、日本らしさの演出で、施設内には鳥居や神社があちこちに。日本の統治時代に、“参拝強要”などがあったことから、韓国の年配者の中には、神社に対して複雑な思いを抱く人もいます。しかし、施設の中では、社にお参りしたり、鳥居をバックに写真を撮ったりする人も多くいて、若い世代では、もはや「日本らしさの1つ」として認識されているようです。

施設を訪れた韓国の若者
Q)今後、実際に日本に旅行したいですか?
「はい。ウィズコロナになって、海外旅行が可能になったら、日本に行こうと友だちと話していました」

国と国の関係が悪い中でも、日本の若者が韓国の文化を楽しみ、親しむのと同じように、韓国の若者も日本の文化に親しみを感じているようです。

“コロナ前のように、自由に互いに行き来できるように─”

多くの人がその日を待ち望んでいます。