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「帰宅困難者」対策 一時滞在施設の利用を

2021年11月15日 21:59
「帰宅困難者」対策 一時滞在施設の利用を

首都圏で大地震が発生すると「帰宅困難者」が発生します。家を目指して歩き続ける人が路上に溢(あふ)れると道路が麻痺し、緊急車両も通れなくなります。このため、帰宅困難者は「一時滞在施設」を利用することが必要です。

▼首都直下地震と帰宅困難者

発生が警戒される首都直下地震。その際、発生すると予想される帰宅困難者は517万人。このうち8割(425万人)は都外から都内に出勤したり通学したりして来た人で、残る2割(92万人)は、買い物客などで都内に拠点の全くない人とみられています。

路上に溢れる帰宅困難者を抑制するために、東京都は第一に、8割の人に慌てて帰宅しようとせず、会社などに泊まるように呼びかけています。その上で、本当に行き場のない残る2割の人には、一時滞在施設に行ってほしいと呼びかけています。

▼一時滞在施設の利用を!

一時滞在施設とは、帰宅困難者を受け入れるための施設で、民間の施設も含めると都内に1137か所用意されています。各施設の倉庫には、そこで受け入れが想定される帰宅困難者が3日間すごせるだけの物資を保管しています。

大地震発生時に一部フロアを開放して一時滞在施設となる東京都庁庁舎では、

・携帯トイレと毛布
・飲料水、水で戻せる炊き込みご飯など食料
・粉ミルク
・生理用品
・常に充電済みにしてある蓄電池
・複数のタイプのスマホに対応できる充電器
・マスクや消毒液など、コロナ対策用品

などが備蓄されています。都内の一時滞在施設のうち、都立施設を使った232か所には、これらフルセットがすでに配備済みだということです。

▼10月7日 震度5強 帰宅困難者発生でみえた課題

先月7日、埼玉と東京で最大震度5強を記録する地震がありました。幸い大きな被害はありませんでしたが、やはり若干の帰宅困難者が発生しています。この時、都内4か所に一時滞在施設が立ち上げられました。最大震度5強を記録した足立区に開設された一時滞在施設には、当時47人の帰宅困難者がいました。この方々は区の職員が駅などに出向き案内をしていたそうです。

しかし、首都直下地震が発生すると想定される帰宅困難者は517万人。アナログな人海戦術では対応しきれません。そのため、いざ大地震が発生したら帰宅困難者が自力で一時滞在施設を探しだし、たどり着ける仕組みがとても大切になります。

▼スマホで検索「東京都防災マップ」

東京都は、帰宅困難者がスマホなどで簡単に一時滞在施設を探せるWEBツール「東京都防災マップ」を開発しています。「東京都防災マップ」と検索してクリックすると東京の地図が現れます。

次に地図の中に表示したい情報を選びます。「表示情報」の2段目にある「防災施設」から「一時滞在施設」を選択。その上で見たいエリアを選択すると建物の中で体育座りをしている緑色のマークが表示されます。これが地域に用意されている一時滞在施設です。

実際に大地震が発生し、災害モードになるとマークは黄色くなります。その上で、施設が立ち上がって実際に帰宅困難者の受け入れを開始したら赤い○。もし帰宅困難者が増えて混雑したら赤い△。もし満員になって、これ以上の受け入れができなくなったら赤い×がマークの上に表示されることになっています。そのときの状況もスマホなどで確認して、受け入れをしている施設に行くことができます。

いつ起きるか分からない首都直下地震。そして、自分もなるかもしれない帰宅困難者。平時から職場や家族で「東京都防災マップ」に触れて、使い慣れておくことが必要です。