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去年一斉休校 感染抑制効果あったと言えず

2021年11月10日 17:35

学習院大学の研究グループが、去年の春行われた一斉休校について、新型コロナウイルスのまん延を抑制する効果があったとは言えないとする研究結果を発表しました。

学習院大学の福元健太郎教授の研究グループは、去年、春の小・中学校の臨時休校が、新型コロナウイルスのまん延を抑制する因果的な効果があったのか調べたということです。

文部科学省が全市区町村に休校の有無を照会した8回の調査から、休校を実施した市区町村と実施しなかった市区町村とで、毎日の新規感染者数を比較したとしています。

その結果、休校を実施した市区町村の方が、実施しなかった市区町村よりも、新規感染者数が統計的に有意に少ないという証拠はほとんど得られず、休校が新型コロナのまん延を抑制する因果的な効果があったとは言えないと結論づけています。

一方で、感染がより悪化し、変異株も出現している去年春以降の状況に、去年春を対象とした今回の研究の結論が当てはまるかわからないとしているほか、海外の状況に、日本を対象とした今回の研究の結論が当てはまるかは、わからないとしています。

その上で研究グループは、休校の問題点として学習不足や心身の健康の悪化、虐待の増加や社会経済的不平等の拡大などをあげ、「副作用を考えれば、休校は慎重に再検討する必要がある」と指摘しています。

また、休校の判断にあたっては、「国や地方公共団体が、感染症の状況や学校の休校状況を、市区町村単位で日ごとに監視することが重要である」と提言しています。