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国内で唯一の「2階建て新幹線」ラストラン

2021年10月1日 20:06
国内で唯一の「2階建て新幹線」ラストラン

国内で唯一の2階建て新幹線が、1日をもって運行を終了します。車窓を流れる景色を、いつもとは違う視線で楽しむことができるのが大きな魅力で、ファンからはラストランを惜しむ声が出ています。

東京・日暮里駅近くにある橋の上では、1日、大雨の中でびしょ濡れになりながら、カメラを構える男性らの姿がありました。そのお目当ては――

会社員(20代)
「2階建て新幹線こと、E4系Maxの撮影にきました」

1日で定期運行を終える、JR東日本の2階建て新幹線E4系です。

橋の上にいた小さな男の子は――

「Maxかっこよかった!」

「Max」の愛称で幅広い世代に親しまれてきたE4系。出発する東京駅にも、多くの人だかりができていました。中には、「こっちで仕事始めてからも(新潟に)帰るたびに使ってましたので、新幹線ずっと思い出あります」と話す人もいました。

E4系は、東京駅を出発すると新潟駅に向かいます。その新潟駅でも多くの人が集まり、最後の姿をカメラにおさめようとしていました。「今日が最後なんで、見せられてよかったなと思いますね」という親子の姿も。

日本で初めて2階建て新幹線が営業運転を開始したのは、1985年の東海道・山陽新幹線です。その後1997年には、1日に引退するE4系が、東北新幹線でデビュー。2001年には、上越新幹線に導入されました。

上越新幹線では、群馬や新潟のスキー場に向かうために利用する人も多かったといいます。また、E4系の特徴として、8両編成を2本連結して走行も。16両の定員は1634人と、高速列車としては世界最大だということです。

そして、2階建てのため、普通の車両より座席位置が高く、車窓からは雄大な自然を楽しむことができるという魅力があります。しかし、高速化が難しい2階建て新幹線は、次第に運行を減らし、E4系も老朽化や、これ以上の高速化が難しいことから、引退が決まりました。

E4系を見送る子供からは――

「終わるのがさみしいけどさ、悲しいけど、弁当とかさ、売っていて本当にうれしかった」

「さようならだね。さみしいけれど時代の流れというか、変わりというかね」と別れを惜しむ男性も。

   ◇◇◇

思い出を残そうという現象も。新潟駅のE4系Maxのグッズ売り場には、長い行列ができていました。ぎりぎりで車両の形をしたお弁当を買えたという男性は…。

弁当買った男性
「容器がやっぱり、どうしても欲しいっていうのもあったし」

引退グッズの人気は、上野駅でも。

JR東日本クロスステーション 東京支店営業課・長屋謙太郎さん「もう(発売)2か月ですごい好評でして、お菓子の部門では1番、E4系の土産の中では売れております」

売り上げが好調だというのは、引退する車両をイメージして、特別に作ったクッキー。「さみしいかな。でも、今日乗らせてもらおうね、楽しみだね」と話す、乗車予定の親子は、マスクにTシャツまでE4系のグッズでした。

さらに、おもちゃも登場。来月6日には、ラストランのロゴが入った、プラレールが発売されます。

タカラトミー プラレールマーケティング部・伊藤渉主任
「長く走っていた車両が、とうとう引退ということで、ぜひ、この機会に最後の思い出を、このプラレールにも入れていただいて、来月に家でも楽しんでいただけたらなと思います」

子供から大人まで、幅広い世代に愛された2階建て新幹線E4系。午後11時すぎ、東京駅へ到着する列車がラストランとなります。