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「学校安全の現在地」池田小事件から20年

2021年9月10日 13:31
「学校安全の現在地」池田小事件から20年

あの日から20年…附属池田小が続ける、命を守る取り組み。20年前の後悔が今でもあります。

「あの時に救護活動に関われなかったことは、今でもどうやったんやろうなと思うことはありますね」

大阪教育大学附属池田小の眞田巧校長は、あの事件を経験した、ただ一人の教師です。

眞田校長「事件現場のところに無意識なのか意識してなのか、行けなかった自分がいたんじゃないのか…」

2001年6月8日、午前10時すぎ、当時37歳の男が刃物を隠し持ち、開いていた通用門から学校に侵入しました。

眞田校長「そこに犯人が入ってきて、ここに残っていた子どもたちを次々と襲っていった」

児童8人が殺害され、教師を含む15人も負傷しました。

眞田校長「ちょうど外のほうからワーとかキャーとか声が聞こえて、ベランダに出て上から下をのぞいた時に、走って逃げていく子どもと倒れている先生が上から見えた」

想定さえしなかった学校での事件。深い悔悟の念を背負い続けています。

眞田校長「学校は安全なところであるという根拠のない思い込みにより、不審者侵入に対する想定ができていませんでした」

毎年春、新たに赴任してきた教師たちにこの学校で20年前に起きたことを伝えます。

「あそこの門が常に開け放たれた状態であった」

“不審者対応訓練”は、年に5回行っています。新たに赴任した3人も参加しました。

教員「自分が刺されるとその分救急搬送も遅くなるので刺されないように」

訓練の流れは誰も知りません。

犯人役「管理職どこや?呼んでくれるか?早よしてくれるか?」

まず子どもたちを教室の中に入れ、扉を閉めます。

不審者への対応以外にも、けがをした子どもを探し救命処置も行います。学校への不審者侵入は年々減少傾向にあるものの、去年は471件。殺人事件は6件起きています。

新任の教諭「決して今までの学校が悪かったとか、そういうわけではないんですけど、本気度は違うなという思いがありました。」

当時2年南組だった娘の優希さんを亡くした、本郷紀宏さんは「学校現場だけで対応が難しいようであれば、行政や警察と連携をとることも大事だと思います」

生きていれば、娘は27歳―毎年、誕生日を祝い続けています。

附属池田小。被害者の家族と教師たちの20年…子どもの命を守る取り組みに、終わりはありません。


2021年8月29日放送NNNドキュメント’21『学校安全の現在地~附属池田小殺傷事件から20年~』(読売テレビ制作)を再編集しました。