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日本医学会「子宮移植」研究として実施へ

2021年7月14日 23:32

生まれつき子宮がない女性の妊娠、出産を可能にする「子宮移植」について日本医学会は、生体からの移植を研究として実施することを認めました。

子宮移植の国内での実施について、2019年から医学的、倫理的、法的、社会的観点から検討を重ねてきた日本医学会の委員会は、14日、生体からの子宮移植を少数に限定して臨床研究を目的として実施することを認める報告書を公表しました。

その中で、研究を実施するにあたっては、ドナー(提供する人)とレシピエント(移植を受ける人)に対して、手術にともなう合併症の可能性があることなど、すべての情報を開示することとし、自らの意思に基づいて行うことを条件としています。

また、日本移植学会と日本産科婦人科学会による合同の委員会を設置し、研究として子宮移植を実施する医療機関から、定期的に個別の症例の報告などを受けたり、研究体制のチェックなどをすることとしています。

現在の臓器移植に関する法律では、子宮は移植の対象になっていません。日本医学会は報告書で、原則は脳死の人からの移植だとして、今後、脳死の人から提供を受けての子宮移植を可能にするため法改正を提言しました。

法改正は、「子宮移植にともなう臓器売買を抑止するためにも必要である」と述べています、報告書では、さらに、生まれつき子宮がない女性に対する治療として、子宮移植だけが解決策ではないとして、医師による子宮がない女性への告知のあり方や精神的なサポート体制の確立を求めています。

子宮移植については、慶応大学の研究チームが、生まれつき子宮がない女性5人を対象に、母親など親族からの生体移植を計画しています。

研究チームの木須伊織医師は、「子宮移植を容認する見解がようやく出たことは非常にうれしく思う。一番喜んでいるのは子宮移植を待っている人たちで、よい知らせ。最終的な目標は脳死による子宮移植を目指している」と話しています。

研究チームは、来年、国内で初めてとなる生体移植を実施するとしています。