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職域接種の一時停止…自治体にはクレームも

2021年7月1日 0:58
職域接種の一時停止…自治体にはクレームも

30日夜、都内のクリニックの前には、人々が集まっていました。

「ワクチンの1回目の接種に来ました。夜のほうが、会社が終わってから、来られるなと思って」

このクリニックでは、午後7時以降の接種を始めたところ、夜だけで180人の予約がありました。そして中には─。

夜間接種を始めたかねなか脳神経外科・金中直輔院長
「『会社で打てなくなったので、ここで打ててよかった』という方が複数」

企業や大学で行う「職域接種」。若い世代への接種も進む一方で、都内の大学で見せてもらったのは、大学で行う接種のお知らせです。しかし、よく見ると、期間、時間の部分が空白のままです。

接種開始のめどが立たず、来月12日に予定していた開始日までにワクチンが届かない可能性が伝えられたのです。

接種開始めどが立たない成城大学担当者
「みなさんと綿密なプランを立てて、ここまで至っておりますが、最終的にワクチンが届かないと、そういった準備もずらさざるを得ない」

大学では、接種をきっかけに後期から対面授業を増やすことにしていました。

成城大学4年生
「早めに(接種を)受けて、みんな一緒に授業を受けられる環境ができたらいいのかなと」

港区役所でも─。

港区産業振興課長
「電話で問い合わせたが、国の方もワクチンの供給に関しては、『なんとも言えない』と」

厚生労働省からのメールには「希望の週の接種開始は困難」と書かれていました。

港区は、多くの区民が買い物に訪れる麻布十番商店街の職域接種を後押ししていますが、こちらも開始時期は見えず─。

港区産業振興課長
「1日でも早く職域接種を進められればと思っていたので、残念な気持ちにはなります」

    ◇◇◇

こうした事態に、ワクチンの打ち手を紹介してきた日本医師会は─。

日本医師会・中川会長
「いわゆるハシゴを外された。ぜひ政府にはなんとか、改善の方策を考えてほしい」

では職場や大学での接種はどうなるのか、30日夜、河野大臣は─。

河野ワクチン接種担当相
「引き続き職域接種と、自治体の大規模接種の新規受け付けは、停止を継続」

一方で、今月25日までに受け付けた分は、時間はかかるが、すべて実施できるとの見通しを示しました。

河野ワクチン接種担当相
「(Q申請しているワクチンがこないところも?)職域を待っていなくても、自治体接種の方で打ってもかまいませんし、申請を取り下げますということは、ご自由にやっていただいてかまわない。」「おそらく8月になると、枠がもう少し空きますので、多くの企業にいろいろご連絡できるんじゃないかと」

    ◇◇◇

職域接種の一時停止の影響は、自治体のワクチンコールセンターにも出ています。自治体のワクチンコールセンターで働く男性は─。

ワクチンコールセンター勤務(40代)
「『職域接種が受けられないのでなんとか(市の)集団接種の方に回してほしい』」

接種を急ぐ人たちからは、厳しい声が飛ぶこともあるといいます。

ワクチンコールセンター勤務(40代)
「『コロナにかかったら誰が責任取ってくれるのか』、『おまえが責任を取って、死んだときにはどうしてくれるんだ』とか。長い方だと、40分も45分もお相手をすることもあります」

中には理不尽なクレームも─。

ワクチンコールセンター勤務(40代)
「比較的年齢が低い方からは『元気な年寄りを先に打つよりは、自分たち基礎疾患があっていつ命を落とすかわからないので、先に打ってほしい』と『それができないんなら会場に乗り込むぞ』と」「高齢者の方々は『若者たちを接種する前に高齢者が全員終わってから、若者に打つべきではないか』という意見」
「自分たちが悪くはないのに、謝らないといけないということ、それから電話で大きい声で怒鳴られると、やはり電話元では萎縮してしまう。今月で辞める者が7人、5月で辞めた者が5人おります」

6月30日放送『news zero』より。