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ワクチンは届く?自治体で“ばらつき”なぜ

2021年6月30日 20:06
ワクチンは届く?自治体で“ばらつき”なぜ

新型コロナウイルスのワクチン接種が進む中、予定通りにワクチンが届くのか――自治体でばらつきが出かねない事態になっています。ワクチンの供給が、どのような状況なのかをお伝えします。

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東京では29日、新たに476人の感染が確認されました。10日連続で前の週の同じ曜日の人数を上回り、増加傾向が続いています。早くもリバウンドが懸念されます。

実際、東京の感染状況は“緊急事態宣言レベル”に近づきつつあります。28日時点の東京の感染状況を見てみると、現在はまだ、国の指標の「ステージ3」相当ですが、10万人あたりの新規感染者数は「ステージ4」の25人に接近し、10万人あたりの療養者数も、「ステージ4」の30人がすぐそこに。現状は高齢者へのワクチン接種が進んだ分、重症者の割合は「40代から50代」にも広がってきています。

■届かなかったらどうしよう…配送量の限界

【職域接種で使用 「モデルナ」のワクチン供給】

職域接種は、25日に新規の受け付けを一時休止されましたが、河野大臣は29日、「『配送量の限界』がきてしまって、配送ができない」と話しました。必要なワクチンの量は確保できているのですが、配送の限界がきていて、政府内では職域接種の受け付けを再開しない見通しが強まっているようです。

職場で接種しようとしていた人はどうなるのか。現場は困惑しています。全国に100店舗以上展開する居酒屋チェーン「ドリームリンク」の村上雅彦代表に話を聞きました。ドリームリンクは、秋田県内の飲食業関係者1800人分の職域接種を、締め切り前日の24日に駆け込みで申請しました。申請から1週間弱たちますが、まだ国から回答はないそうです。

村上代表は「すでに秋田市や医師会の協力のもと、1000人以上入る会場やスタッフ、打ち手は確保済みで、ワクチンが届かなければ、接種する予定の1800人と関係各所におわびしなければならず、気をもんでいる」ということでした。

国が「とにかく早くワクチン接種を」というので、現場がまじめに頑張った結果、受け付けを停止せざるを得ない現状になっています。

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■希望数の「100%」と「25.6%」 自治体で大きな差

【自治体で使用 「ファイザー」のワクチン供給】

自治体へのワクチン配分の問題も出てきています。自治体は、都道府県にどれだけワクチンがほしいかの希望を出し、都道府県の判断で実際の配分数が決まります。ただ、7月第2週、第3週に配分される数は、東京・目黒区は希望したとおり100%ですが、豊島区は希望した数の25.6%にとどまります。

なぜ、自治体で大きな差があるのか――

東京都の担当者によると「前回、配布した分に対し、『より多く使い切った自治体』に希望通り配分するように」との国からの通達があったそうです。つまり、配分されたワクチンをできるだけ使い切っているところに、希望通り配分するように…というのが国の考えで、目黒区は、より多く使っていたということです。

ただ問題なのは、そのワクチンをどれだけ使ったか、ワクチン接種を記録するシステム「VRS」を使うことで、実態とは乖離(かいり)するケースが生じているのです。VRSとは、住民が接種したら入力していき、どこで何人が接種したかがわかるシステムです。

目黒区の場合、集団接種が中心。一度にたくさんの人に接種して、その場でどんどんVRSに入力し、使い切っているので“成績優秀”ということになります。

一方、豊島区は個別接種をメインで行っていて、各診療所が入力しています。個別接種だと、かかりつけ医が豊島区にあれば、区外の人も接種できますが、そうすると、実際は豊島区に配分されたワクチンを使っているのに、VRS上では別の区で接種が終わったことになります。

つまり、ワクチンの在庫が実際の数と乖離してきて、VRS上では接種が進んでいない、余らせているように見えてしまう可能性が出てきます。豊島区の担当者は「配分が想定より少なくなれば、医療機関への配分の際に、上限を設けることになるかもしれない」と述べています。

別の区では個別接種の場合、医療機関から接種した人の情報を一度、自治体に吸い上げて、自治体が入力するところもあるので、スピードに時間差が出るということです。

ワクチン接種の実態を把握するのは難しいですが、接種を前に進めるために、予約が重複しないようにするなど、各自で気をつけることも必要です。

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ファイザーは、今年中におよそ2億回分、モデルナは9月末まででおよそ5000万回分。1人2回打ったと想定しても、対象人数には足りる数が届くことになっています。現場が頑張って体制を整えたのに、供給スケジュールを上回る希望がきて、供給が追いついてない現状。河野大臣は「ファイザーワクチンの供給量が急に減ることはない」としていますが、在庫の管理と配分について、もっと良い方法はないのか検証し、早い対応を望みます。

(2021年6月30日16時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)