各地に新型コロナウイルスのワクチンを接種する大規模な会場がオープンし、１回目の接種を終えた人も１４００万人を超えました。しかし、防衛省が運営する大規模センターでは、来週以降の予約枠に大量の「空き」が出ていることが分かりました。何が起きているのか詳しくお伝えします。

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接種対象を１都３県に拡大してから、９日、初めて東京の大規模接種センターが報道陣に公開されました。重い副反応が疑われる症状が出た人の対応にあたる「救護所」がありますが、暑さ対策のために、新たに接種会場内にクーラーを増設し、屋外の待機場所にはミストが設置されました。

■大量の「空き枠」どうして？

大規模センターでは、来週以降の予約に、まだまだ「空き枠」があります。１４日から２７日までの予約枠は、９日午前１０時時点で、東京会場は１４万人分の枠に対して、１１万人８９４５人分の空き枠が…。大阪会場は７万人分の枠に対して、５万２０９８人分の空き枠があります。東京は８割以上、大阪は７割以上が、空きの状態になっています。なぜ、こんなに空き枠があるのでしょうか？

岸防衛大臣は、大量の空き枠がある理由について、「自治体の接種が本格化していること」などを要因に挙げました。ただ、２８日以降は、同じセンターで２回目の接種が始まり、１回目の枠が非常に少なくなるため、「早めの予約を」と呼びかけています。

それでも枠が余った場合、一般の接種などへ広げないのか疑問が湧きますが、大規模接種センターでは、一般への接種を進めるのは難しいといいます。ネックとなるのは「接種券」の問題。一般の人はまだ、接種券が届いていない人が大半なのです。

職場の接種であれば会社で接種するので、接種券が手元に無くても、届いた後に持ってきてもらって、後から登録すれば済みます。しかし、政府関係者によりますと、大規模センターの場合、「『届いたら持ってきて』と言っても、面倒だから持ってこないだろう」ということで、接種券なしの接種はできないといいます。

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■「全くの予想外」知事も驚くほどガラガラ

今週スタートした広島県福山市の大規模接種会場では、初日の７日、会場はとても空いている様子でした。最大１日１８００人の枠に対して、接種したのがわずか８８人。そこで急きょ、医療従事者ら１５０人を追加して接種したのですが、それでも初日の合計は２３８人でした。

これには、広島県知事も会見で「こんなに低調なのは全くの予想外。みなさん、もっと打ちたいんだと思っていました」と述べるなど、驚く事態になりました。

どうして、知事が驚くほどガラガラになったのか、その理由については、予約を受け付けたのが「福山市の８０歳以上」など限られていて、かかりつけ医を希望する人が多かったのではないか、といった指摘がありました。また、会場が市の中心部から車でおよそ２０分と、高齢者にとってはアクセスの難しい場所だったと指摘もされています。

当面は、近隣の市や町も含めて、医療や介護の従事者にも接種を進めていくといいますが、県は「空きがある」と積極的な利用を呼びかけています。

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■海外「ワクチン接種ツアー」課題も…

一方で、まだ接種の順番がやってこない人たちの中には、どうしても打ちたいと、海外で「ワクチン接種ツアー」に参加する人も出てきています。

アメリカ・ニューヨークで、現地の旅行代理店が実施する「ワクチン接種ツアー」に参加した男性は、「いつ自分の番が日本で回ってくるのかわからないので、打てるならさっさと打とうかと思いまして」と話しました。接種会場に入り、１時間ほどでワクチンの接種は終了したということです。

ツアー参加者は４０代から５０代の男性経営者が多く、平均で１日２０人ほどが参加しているといいます。

しかし、そこには課題もあります。

そもそも大前提として、外務省は現在、アメリカ全土を「渡航中止勧告」の対象にしています。それぞれ、事情があるのかもしれませんが、勧告を無視する形で渡航して接種していることになります。

また、接種が「１回」で済むからという理由で、多くの人が日本で未承認のジョンソン・エンド・ジョンソンのワクチンを接種しています。厚生労働省によると、未承認のワクチンは、予防接種法の救済制度でカバーされないため、何かあった時の補償が日本では受けられないといいます。

河野ワクチン担当大臣は、今後、国内でワクチンパスポートが発行される時に、問題が生じる可能性があることを指摘しています。

もちろん、打ちに行くのは個人の自由ですが、海外への渡航自体が、まだまだリスクがあると言わざるを得ないので、少なくとも現在のところは、すべて自己責任でということになります。

２０２１年６月９日１６時ごろ放送　ｎｅｗｓ　ｅｖｅｒｙ．「ナゼナニっ？」より