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「開催前提」五輪まで50日 自治体戸惑い

2021年6月4日 10:13
「開催前提」五輪まで50日 自治体戸惑い

東京オリンピックの開幕まであと50日。観客を入れるかどうかなどが決まらないなか、“開催前提”で準備が進められています。五輪合宿で来日した代表選手は、厳しい制限にも「ここに来られたことに感謝している」と笑顔。一方、競技会場のある自治体からは戸惑いの声も――


■「開催前提」で…アイテム発表会

開幕まで50日に迫った東京オリンピック。3日、東京・有明アリーナで表彰式アイテム発表会がありました。

大会組織委員会・橋本会長
「あと50日を数えれば、この舞台に皆さまをお迎えして大会を開催できるところまで来ました」

松岡修造さん
「東京2020に向かって、思いを1つにしていきたい!」

表彰式で、メダリストが上る表彰台なども発表されました。開催前提で準備が進んでいます。

■国立競技場で「花火映像」目撃

東京・渋谷で聞きました。

開催に反対(20代)
「今の状況では反対ですね。新しい(新型コロナ)ウイルスがまた来て、不安もまた募ってきている状況なので」

開催に賛成(50代)
「私はオリンピックはやった方がいいと思っています。(中止になったら)世の中真っ暗になっちゃうような気がして」

NNN・読売新聞世論調査(5月7~9日に電話調査)では、「中止した方がいい」という声が59%で約6割に上りました。「観客を入れずに開催」は23%、「観客数を制限して開催」は16%でした。

ボランティアの石塚みず絵さんは5月下旬、国立競技場から花火が上がっているのを目撃しました。「びっくりしちゃって。『うわ、花火だ!』と。もしかしたらこれは開会式とか閉会式のリハーサルかな、と(思いました)」と振り返ります。

組織委員会は「リハーサルはすでに実施している」と説明しますが、花火との関係は不明です。

石塚さんは「(大会を)やるという方向でもちろん動いてはいるなあとは感じておりますけども、現実、(開催は)無理だというのが私の見解ですね。ただ私はせっかく関わったのだから、辞退するつもりはありません」

■尾身会長「普通はない」再び指摘

そして2日に続いて、政府分科会の尾身会長が開催の可否について発言しました。

参院の厚労委員会で、「こういうパンデミックの、そういうところにやるということが普通でない。やるならですね、強い覚悟でやってもらう必要があると思います」とくぎを刺しました。

今の感染状況での開催は「普通はない」と指摘した尾身会長。「政府に言っても、IOCに届かないと意味がないということで、どこにわれわれの考えを述べたらいいのかは、今検討しているところですから」とも述べました。

■合宿選手「買い物OK」提案も

こうした中、1日に海外の代表選手団として延期決定後に初めて来日した、オーストラリアの女子ソフトボールチーム。群馬県太田市で事前合宿に臨んでいます。

ジェイド・ウォール選手に話を聞きました。日本語で「こんにちは」と笑顔です。

「とにかくホテル内にいなければならず、地元の人たちと会話することはできません。道の向こうの店に行って、アイスクリームを買ったりすることすらできません」

移動はホテルと練習会場のみに制限されていて、必要なものがある場合、市の職員が代わりに買い物に行きます。

ジェイド・ウォール選手は「ここに座っている、私の小さな友達を紹介するね。ふるさとを感じさせてくれるの」と、隔離生活のために持ってきたコアラの人形を見せてくれました。

トレーニングなどを終え、空いた時間にはゲームなどをして過ごしているといいます。

太田市は国に対し、来日から2週間がたった後は一般客と時間をずらし、選手が買い物をできるよう提案しました。ジェイド・ウォール選手は「私たちは(移動制限など)厳しい条件でも構いません。ここに来られたことに感謝しているからです。ありがとうございます」と笑顔を見せました。

■テントや消毒液…準備できず

これまでに105の自治体が、海外選手の事前合宿の受け入れや交流の実施を断念。競技が行われる自治体からは、戸惑いの声が上がっています。

茨城県鹿嶋市はサッカーの競技会場となっていますが、観客が入る場合、税金を使って会場設営のテントや消毒液などを用意しなければなりませんが、その準備ができていません。

市の担当者
「観客が入るか入らないか、なるべく早く知りたい。『観客あり』で今動かなくては、50日前という状況で準備がなかなか厳しいですからね」

(6月3日『news zero』より)