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解説:東京会場で接種予約埋まらず…ナゼ?

2021年5月26日 22:43
解説:東京会場で接種予約埋まらず…ナゼ?

東京と大阪大規模接種センターでのワクチン接種が始まりましたが、予約をめぐっては「二重予約」など混乱が起きています。また、東京では予約がなかなか埋まらないという意外な事実も。接種を受ける皆さんにわかりやすく解説します。

■大規模接種、東京の予約埋まらず…ナゼ

東京と大阪の大規模接種センターでのワクチン接種が始まり、初日には合わせて7348人が1回目の接種をしました。26日もたくさんの人が接種に訪れています。

ただ、意外にも、東京会場では来週分の予約がまだ埋まっていません。来週月曜日(31日)から1週間分の予約状況を見てみますと、大阪会場では開始から約30分で3万5000人分の枠がすべて埋まりましたが、東京会場では、25日午後5時時点で、7万人の枠に対し予約が入ったのは約3万7000人分。まだ、対象は都内の高齢者だけですが、3万3000人分の枠が埋まっていません。

防衛省は、東京は大阪と異なり、まだ接種券が手元に届いていない地域があることなどが理由の一つとみています。

また、実際に東京会場を訪れた人の中には、会場の大手町は「(自宅から)遠い。慣れていないし、とても不安で、孫を頼りに来た」と話し、孫と一緒に来た人もいました。

■「2回目の予約」めぐり押し問答も

「2回目の予約」をめぐっては、ちょっとした押し問答もありました。

大規模接種センターでは1回目の接種を終えると、2回目の日時が自動的に指定されますが、人によっては、その日時が5週間後に指定されることがあります。現場では「4週間後でないのか」「なんのために早く予約を入れたと思っているんだ」と押し問答になり、その場に滞留ができるケースもありました。

大規模接種センターで打つのは「モデルナ製」のワクチンで、厚労省のホームページでは、通常1回目から「4週間後」に2回目を受けると説明があります。

しかし、大規模接種センターを運営する防衛省によりますと、全員を4週間後に指定すると、4週後は新たに1回目を打つ人がゼロになってしまうため、1回目の人の枠を一定程度確保するために5週間後に指定される人もいるということです。

1回目の接種から4週間を超えた場合は、6週間後までに2回目を打つという目安をWHOなどが出しているので、この見解を丁寧に説明していると、防衛省は話しています。

■自治体の負担も増加…「二重予約」問題

そして、もう一つ、混乱をもたらしているのが「二重予約」の問題です。

大規模接種センターで接種を受けたAさんは、地元の自治体でも接種の予約をしていました。しかし、大規模接種センターで打っているのは「モデルナ」製で、自治体で打っているのは「ファイザー」製です。異なるワクチンは打てないことから、このまま予約が取り消されなければ、ワクチンが無駄になる可能性があります。

東京都世田谷区では、大規模接種センターで初日に接種を受けた819人のうち172人、およそ5人に1人が、こうした「二重予約」をしていたということです(*25日午前10時時点)。世田谷区では、「二重予約」をしていた場合は、予約の取り消しを強制的に進めることにしています。

また、防衛省でも「大規模接種センターで受ける人は、自治体の予約を取り消して」と呼びかけています。

ところで、どうして「二重予約」が判明したのでしょうか。実は、自治体の職員が1件1件、チェックして明らかになったのだといいます。

大規模接種センターで接種すると、その情報が政府の「ワクチン接種記録システム(VRS)」に登録されます。その情報を見て、世田谷区の職員が「世田谷区民で打った人」を探し、その中で「区でも予約している人」はいないか、突き合わせます。

現在、他の自治体でも照合を進めていて、25日までに足立区で16人、目黒区で6人、江東区や北区でも数人の「二重予約」が確認されました。

こうした確認を毎日しなければならないため、自治体の負担も増えているといいます。

■1位は和歌山県…接種率ランキング

いま、高齢者の1回目のワクチン接種は、どのくらい進んでいるのか、23日時点のデータをもとに、都道府県の状況をランキングにしてみました。

1位は和歌山県。先週に引き続きトップで17.4%。8位までは接種率10%を超えています。緊急事態宣言に追加された沖縄県は、先週と同じ18位で接種率は7.5%。東京都は先週から8つ順位をあげ24位で、接種率は6.6%。一方、下位の方に目を向けてみると、46位に千葉県、47位は愛媛県となっています。

ペースがあがらない自治体については、その事情を調べてみると「高齢者施設」での接種を優先して進めているケースがあります。重症化しやすい人が多く、クラスターのリスクが高いため優先的にという考え方に基づいています。

46位の千葉県は、「主に高齢者施設で接種を行い、一般の集団接種が先送りに」なっているということです。また、前回の46位から16位に順位を上げた岡山県は、「施設を中心に進めていたが、一般高齢者向けの接種が始まった」ため一気にランクアップしたところがあります。

■スピードアップの工夫も

各自治体では、スピードアップのために工夫も凝らしています。

一気にランクアップした岡山県では、「県内の市町村ならば、どこでもワクチン接種を受けられる仕組みを作った」といいます。かかりつけ医でなくても、出先で接種が可能だということです。

また、ランキング1位の和歌山県にある和歌山市では、280の一般診療所が接種に協力しているといいます。かかりつけ医による接種は、医師も高齢者もお互いのことが分かっているため安心で、スムーズに接種が行えます。また、休診日にも接種を行っていたり、内科にかぎらず、耳鼻科、産婦人科など、あらゆる診療科が協力しているということです。

さらに、和歌山市は、高齢者のインフルエンザワクチンの接種率が全国平均より高いということで、市の担当者は、今回も個人の動きが早かったと話していました。

自治体の接種計画と、打たれる側の意識の高さ、2つが合わさってより効果をもたらした好事例といえそうです。

(2021年5月26日16時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)