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「宣言」延長 都が“テレワーク”新制度

2021年5月8日 12:15
「宣言」延長 都が“テレワーク”新制度

5月末までの延長が決まった緊急事態宣言。飲食店は悲鳴を上げ、農園ではキャベツが廃棄されています。休業要請をめぐり、大型施設や百貨店には混乱も。東京都はテレワークの浸透へ制度を新設しますが、すでに自宅の仕事環境を充実させている男性を取材しました。

■酒提供“自粛”居酒屋「ひん死」

5月末までの宣言延長が決まった東京。休業要請が続くことを、人々はどう受け止めているのでしょうか。

引き続き酒の提供ができない、都内の飲食店を訪ねました。

飲食店代表
「居酒屋はもう、ひん死の状態ですね」

もともと4店舗あった居酒屋は、コロナの影響で次々と閉店に追い込まれ、休業中の1店舗になりました。店の中には炭が段ボールで梱包されたまま置かれていましたが、「仕入れたはいいけど使えないので…」と代表は嘆きます。

従業員も約4割減り、月700万円ほどあった売り上げは、1日に1~2万円ほどになったといいます。

生き残りをかけて始めたのは、「から揚げ」のテイクアウト専門店。ただ、ここにも緊急事態宣言の影響が及んでいました。

飲食店代表
「外に出づらいという環境が重なっているのかなという風に(感じます)。『テイクアウトのお客さんが、家にいるから増える』という感じはしないですね。むしろ減っているのかなというイメージです」

それでも、もし、から揚げ店をやっていなかったら――。代表は「もう、考えられないですね」と言葉を絞りだしました。すべてをあきらめていた可能性もあったといいます。

■国は「酒の持ち込み禁止」要請

多くの飲食店が我慢をしている一方、7日夜8時過ぎの東京・新橋を訪ねると、開店している店には客が並んでいました。今も24時間営業を続ける居酒屋もありました。

国は今回の宣言延長で、新たに「酒類の持ち込み禁止」も要請。持ち込みを許可している店は、応じるのでしょうか。

都内の居酒屋
「従うかはまだ分からない。料理だけの提供やデリバリーが客に浸透するのは時間がかかるし、大赤字の中、酒の持ち込みもダメとなったら、やっていけない」

■行き場なく…キャベツ大量廃棄

茨城県古河市の「鈴木農園」では7日、愛情を込めて育てたキャベツを、自ら踏みつぶしていました。今回の宣言の影響で、取引先の飲食店が次々と休業し、行き場をなくしてしまいました。

農家は「言葉にならないですね。ただただつらい…それだけです」と肩を落とします。

■混乱…東京「休業要請」継続

今回の宣言延長で振り回されたのが、「1000平方メートルを超える大型施設」です。

現在休業中の都内のボウリング場では、社長らが菅首相の会見の様子を見ていました。菅首相の口から「デパートなどの大規模施設は20時(午後8時)まで」という言葉が出ると、「20時まで!」と喜びましたが、それもつかの間でした。

1時間後。東京都の小池知事が会見で「引き続き休業を要請いたします」と呼びかけると、社長は「うーん」と、頭を抱えました。

岩本乃蒼アナウンサー
「(都の要請に)納得感はありますか?」

ボウリング場 社長
「(ボウリングは)高齢者にとっては、本当にいい運動になっているんですね。その運動施設を止めろという理由が、納得できない」

その場で、今後の方針についての話し合いが始まりました。

ボウリング場 事業部長
「一般のお客様を入れないで、運動施設としてだけやるっていうのも、1つの(選択肢では)…」

社長
「でも、運動施設をやめてくださいと(都は)言っている」

事業部長
「そうです、ただそこに関して納得のいかない部分が僕らにはある…」

この日は答えが出ないままでした。

■休業…? 要請に百貨店「戸惑い」

生活必需品エリアを除き、休業中の百貨店。東京の松屋銀座を7日訪ねると、小池知事の会見を聞いていた従業員から「よく分かんないね…」「延長ってことなんですよね」「相当、厳しいですね…」と、戸惑いの声が続きました。

松屋銀座では8日午前中に会議を開き、今後の対応を協議するといいます。

休業するかどうか、事業者の悩みは深まります。街で聞きました。

会社員(25)
「(施設が)開いていると、どうしても行くことはあると思います」

会社員(26)
「開いていたら人が集まるだろうなというのは予測はつくので、自分は行かないようにしますね。ちょっと我慢して」

■都「テレワークマスター」に奨励金

東京都 小池知事
「最高で80万円の奨励金を支給いたします。テレワーク、この際、本当に徹底をしていただきたい」

人の流れを抑えるため、新たなシステムを設けることを小池知事が会見で明らかにしました。週3日、社員の7割以上のテレワークを3か月間、実施した中小企業を「テレワークマスター企業」と都が認定し、奨励金を支給します。

3度目の緊急事態宣言に伴い、出社は原則、週1回、「7割テレワーク」を実施する企業で働く都内の市原純さん(25)の自宅を訪ねました。

「家でも快適に作業できるように…」と市原さん。長引くテレワーク生活で力を入れていたのが、自宅の環境を充実させることでした。

4か月前に取材した時は、テレワーク用の椅子と、ウォーターサーバーを購入していました。

訪ねた7日夜、市原さんは仕事終わりに、真っ先に玄関に向かいました。「(使うのは)今日が初めてです。なので使い方が分からない…」と言いながら、うれしそうです。ゴールデンウイーク中に、ビールサーバーを購入していました。

さっそく仕事終わりの1杯を楽しみ、「テンション上がりますね。とても良いと思います」とご満悦の様子でした。

■全国死者148人…過去最多に

7日、全国の感染者は4か月ぶりに6000人を超えて、6056人になりました。亡くなった方は、過去最多の148人。9県で過去最多の感染者数となっていて、中でも愛知は443人、福岡は472人と、いずれも400人を超えています。

この2県に突然、飛び込んできたのが、緊急事態宣言の対象地域に追加されるというニュースでした。

愛知県の酒店は「突然のニュースで正直、びっくりしている状態で、周りの店の状況も聞けていないので…」と困惑を隠せません。

福岡県民からは「ちょっとショックですね。酒好きなんで、それがショックで仕方ないです」「またか…って。また出ちゃったのかなって思いました」という声が聞かれました。

(5月7日『news zero』より)