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木久扇師匠の夢はアニメ制作で落語に恩返し

2021年4月10日 15:25
木久扇師匠の夢はアニメ制作で落語に恩返し

東京・新宿高島屋で開幕した『笑点放送55周年特別記念展』のセレモニーに出席した落語家・林家木久扇(83)に、日本テレビnews every.のキャスター、ハードキャッスル・エリザベスがインタビュー。新型コロナウイルスに対する思いや笑いの秘訣、今後の夢などを木久扇さん流に語っていただきました。

1966年に放送を開始し、お茶の間に笑いを届けてきた人気演芸番組『笑点』。展覧会は五代目三遊亭圓楽さん、桂歌丸さんら歴代のメンバー遍歴など55年の歴史をさまざまな視点で振り返る内容。現在の笑点メンバー(司会・春風亭昇太、三遊亭小遊三、三遊亭好楽、林家木久扇、林家三平、三遊亭円楽、林家たい平、山田隆夫)の普段見られないプライベート写真や、実際に使われた小道具、座布団などが展示され、画家としても活躍する木久扇さんの絵画展も同時開催されています。

【笑点放送55周年特別記念展について】
50周年のつもりでずっと予定と企画立ててたら延期になってね、実現して本当にありがたいしうれしいですね。こういう節目にお手伝いができて。

【木久扇さんイチ押しの展示は?】
僕は日本橋生まれなので、昔の日本橋、橋が架かっていて街の人
が行き来している絵を再現したんです。原点に戻るみたいなワクワクしながらこんな大きい絵を描いたんですよ。これが展示の真ん中に飾られるんだってすごくうれしかった。

【画家・木久扇の最新作「日本橋」】
Q.日本橋の絵は今回のために特別に描いたのですか
そうなんですよ、大きい絵ですからね。あれは売れるんじゃない
かな。
Q.売るんですか
絵っていうのは買ってくれて飾ってくれる人がいて、自分のうちに
飾っといてもしょうがない。だから売りたい。でも展示だけなんです。落語家なんですけどね、何で絵を続けているかっていうと、もともと絵が好きなんですけど、“噺”っていうのは面白いことを言うんですけど、消えちゃいますよね。空気みたいなもので何にも残らないですよね。だから昔の名人の方が音源は残しているけども、いなくなっちゃうと消えちゃう。僕は“残る”っていうのに執着があって、僕っていう人が生きた証拠に絵を残したい。「面白い絵を描いていたのは本当は落語家さんなんだよ」っていなくなってからでも伝説みたいになればありがたいな。

【現在83歳、チャレンジしたいこと】
私は落語家で落語をやって格好ついてきましたから恩返しで、絵が描けますから「落語スターウォーズ」といって長屋のね、大家さんとか八っつぁん熊さんたちがそのまま宇宙に飛んでいって、長屋ごと、長屋のロケットで。ラーメン屋さんを出したり、いろんな職業についみて星くずと一緒にね。いろんな星からラーメン食べに来たり、そば食べに来たり交流がある。そういうアニメを作りたい。今描いているのは「ラーメン天狗」のアニメなんですよ。ラーメン天狗っていうのは僕の作ったキャラクターで、なるとのマークがあって紋もなるとでね。黄色い覆面で。僕はアニメをとにかく夢にして、できないことでもないしやりたいですね。楽しい音楽でね、笑点のテーマソングなんて素晴らしいじゃないですか。♪チャンチャカチャカチャカって聞いただけでワクワクするなっていうのがあるでしょ。ああいう曲をつけてもらってね。映像で働きかけて落語に恩返しをしたい。で、入金がある。とっても大事!いくらで契約するか(笑)

【笑点55年の歴史を振り返って】
もうね赤ちゃんで生まれた人がジジイになってる。シワだらけに
なっちゃって。
Q.振り返られていかがですか
(後ろを見て)振り返ると誰も居なくてね。司会者を5人僕送ってますから。香典3万円ずつ出してますから。だから笑点の歴史は15万円。でも送るっていうことは大変ですよ。笑っちゃいけないですからね。亡くなられたときはね。それで次の笑点の収録とか大変なんですよ。感情の持っていき方がね。

【笑っていられる秘訣「入金」の極意】
やっぱり貯金通帳見たときに増えてると笑うんですね。お金っていうんですけどね、あんまりお金の話を人はしませんが、暮らし向きのもとはお金なんですよ。長野におやきっていう食べ物があるでしょ?60歳過ぎのおばあちゃんたちがアルバイトで作っていて、1個売れると7円とか13円もらえる。そうすると、おばあちゃんたちは作りながら、これで今日はいくらもらえると分かり生き生きとしてる。年寄りだからって大事にされて、寝なさいよ、あまり遠くに行っちゃいけない、運動しちゃいけないって枠作っちゃうと、滅びていくんですよ人の体は。これでいくらっていうのが分かると、ずーっとはっきりしてるんです。だから僕「入金!入金!」って面白がって言ってますけど大事なことなんです。収入を得るっていうのは。お金のために働くことが元気の秘訣なのかもしれませんね。
何でも自分で買えて、孫にお小遣いあげられるっていうおじいちゃんおばあちゃんになりたい。お年玉ちゃんとあげられるおじいちゃん。コロナでね、番組出演回数は減ってますけれど、結構原稿を書いたりなんかしてて、収入的に減ってないんですよ。それが元気の素なんですよ。僕が必要とされてることがとてもうれしい。

【木久扇流・新型コロナウイルスに対する思い】
Q.コロナの影響で通常営業ができないときは
私のコロナ観ですが、ちょっと変わってましてね。私が小学校1年生の時に日本橋にいまして、戦争が激しくなって毎晩空襲です。おばあちゃんの手を引いて防空壕に急ぐ毎日。小学校1年だったんですけれど、子供の気持ちとしてね、明日死んじゃうんじゃないかなってのが毎日あったんです。で、コロナも一つの災厄ですけれども、これは疫病ですよね。だから食べ物もあるし、空から爆弾が降ってくることもない。マスクして、手を洗ってうがいして注意していれば遮断できる。そういう暮らしの毎日ですよね。東京大空襲を体験している人間にとってはね、これは災厄としては防げることなんですね。我慢して我慢して、待っていれば元通りになるという期待があります。爆撃は命とられちゃうし街は廃墟になっちゃうし、大変なことだったんですよ。それを体験しているのでコロナっていってもコロナに対しての気持ちが強いですね。僕ね、落語のまくらで新しいことをどんどんやっていかなくちゃいけないんでね、「転んでないのにコロナとはこれ如何に」「感染してないのに新幹線というが如し」って言うとすっごいウケるんですよ。それから落語に入っていく。つかみっていうんですけど、そういう作戦も、やっぱり頭が違う。で、入金がある。バカじゃない、画家です(笑)
今後の目標を尋ねると、すかさず「コンゴ?コンゴはアフリカです(笑)」。目指すは、笑点100周年。その通過点にすぎない笑点放送55周年特別記念展は4月27日まで新宿高島屋11階の特設会場(入場無料)にて開催されています。