生と死の音~新型コロナ専用ICUの記録~
コロナ患者専用の集中治療室を持つテキサス州の医療センター。室内では「生と死の音」が絶え間なく響き渡ります。防護服に身を包んでの密着取材。見えてえたのは、容体が急変する新型コロナウイルスの恐ろしさと、終わりの見えない医療従事者たちの闘いでした。
生と死の音が飛び交うアメリカコロナ病棟の現実。
記者「ここから先はもうコロナウイルスの患者の病棟になります」
ジョセフ・バロン医師(ユナイテッド・メモリアル医療センター)「コロナを信じてない人たちに見てもらいたい。これが本当の現実なんだ」
昨晩、搬送されてきたというゴメスさん。
「落ち着いて」
「酸素マスクをとらないでください」
「もうだめだ」
「大丈夫マスクをしてください」
ゴメスさんに人工呼吸器を装着し、容体はひとまず安定しました。
40人ほどのチームを率いるバロン医師。食事の時間も油断できません。
バロン医師「1日1食だよ」「時間がないんだ。見ただろう」
ようやく落ち着き、バロン医師に話を聞き始めた矢先。
「コードブルー」
「コードブルー OK」
向かったのは、あのゴメスさんの病室。
「ワンツーワンツーワンツー」
「もっと強く」
「手を休めるな、腕をまっすぐにしろ」
バロン医師「みんなよく頑張った。ありがとう。死亡宣告をします」
8時間前まで普通に会話が出来ていたのに…研修医がゴメスさんの娘に、父親の死を伝えます。
研修医「残念ですが、お父様がお亡くなりになりました」
急すぎる知らせに、泣き叫ぶ娘。医療従事者の苦悩は続きます。
バロン医師「コロナ退治に行くぞ」
午後になると、バロン医師はICUにいるすべての患者の回診を行います。首からかけた顔写真は、防護服姿で患者を不安にさせないためのアイデア。
バロン医師「きっと良くなるからね。大丈夫だよ」
意識のない患者にも必ず話しかけます。中には死の淵から生還した患者も。
バロン医師「クリスマスには家に帰れるはずだ」
一方、この女性は容体が一向に回復しません。人工呼吸器のチューブを気管から直接挿入することになりました。注射を任された、研修医は…
記者「手が震えている」
ひとりでも多く医師を育てることが、この過酷な現場において重要だと考えています。コロナは“背後から突然刺されるようなもの”いい状態から悪い状態に一瞬で変化する。
命の現場で医師たちが闘う一方で、マスク反対派も多く存在するアメリカ。
記者「新型コロナウイルスは怖くない?」
女性「怖くないわ。フェイクだもの」「言われているほどのものではないわ」
男性「マスクは自分を傷つけるって知ってるか?免疫が弱くなるんだ」「死ぬことはないし」
この現実が、医療現場を過酷なものにしています。
バロン医師「マスクは、自分を守るためではなく、あなたを守るために着けるんです」「日本はアメリカと同じ過ちを犯してほしくはない」
『生と死の音~新型コロナ専用ICU、4日間の記録~』
2021年1月放送 日本テレビの制作
▼フルバージョンは、Huluにて配信中