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3つの意外な理由で…じゃがいも“6割高”

2021年1月28日 21:08
3つの意外な理由で…じゃがいも“6割高”

肉じゃがのような和食でも、カレーやフライなどの洋食でも活躍する食材「じゃがいも」に、いま異変が起きています。東京市場のじゃがいもの卸値は、平年と比べると、なんと6割も高くなっています。その原因は何なのでしょうか。


◆じゃがいも6割も高い!値段を見た客は…

くりぬいた大きなじゃがいもに自家製ホワイトソースを入れ、オーブンで焼くこと5分。とろけたチーズがたまらない、魅惑のじゃがいもグラタンです。

千葉県市川市にある『Lamp Light じゃがいも』は、実はなかなかお目にかかれない、じゃがいもを使った“専門店”です。しかし、今、直面しているのが……

苫米地正人オーナー「全体的に高いですね。去年に比べると2~3割は高くなっていると思います」

メイン食材であるじゃがいもの高騰。

苫米地正人オーナー「まあちょっと我慢するということにはなると思いますね」

     ◇◇◇◇◇

都内のスーパー『新宿八百屋 新大久保駅前店』では。

新宿八百屋・荒巻秀俊専務取締役「これは北海道の男爵いもの一番大きいサイズなんですけども、今日あたりでいうと2割ぐらい高い感じで、通常198円のベースの価格が230円くらいまで。お客様は値段見た時に『うっ』て一瞬止まられる部分はあります」

じゃがいもの日別卸値は、25日の東京市場で1キロあたり223円。平年の137円と比べると、6割ほども高くなっているのです(平年卸売値:独立行政法人農畜産業振興機構「ベジ探」まとめ)。


◆じゃがいもの産地・北海道で高騰の理由を聞いた

国産じゃがいもの収穫量のおよそ8割を占める北海道。その中でも主要な産地である十勝地方の『JAめむろ』農産部青果課・丸義太郎さんに聞くと……

──高騰の理由(1) 収穫量減
丸義太郎さん「前年対比で1割から2割くらい収穫量が減っている状況。5月6月に干ばつが続いた影響」

──高騰の理由(2) 需要増
丸義太郎さん「例年に比べると消費動向が大きく変わっておりまして、家で保存しやすい食材ということでご購入いただいているのかなと」

さらに。

──高騰の理由(3) 大雪
丸義太郎さん「雪の影響で輸送がストップしてしまうということで」

本州へのじゃがいもの輸送は主に鉄道で行われています。年明けからの強い寒波により大雪が続き、その鉄道が一時運休に。ただでさえ収穫量が減っている中、物流停止によって価格の上昇に拍車がかかったということです。


◆高騰うけ、店側も対策を検討

これを受け、対策を検討し始めるところも。

東京・渋谷区の『イエローカンパニー恵比寿本店』では、茹でたじゃがいもを素揚げし、中はほっくほく、外はカリカリに。そこに鶏肉のうまみと野菜の甘みが溶け込んだ自慢のスープをたっぷり注いだスープカレーが大人気。

“じゃがいもといえば北海道、北海道といえばスープカレー”。この組み合わせでお店を始めて18年目の今年……

大竹雅人店長「このコロナ禍の時代なので、ただでさえお客さんの入りが悪くなっている中、食材が高騰していくというのはお店としてはすごい痛手」

コロナ禍で苦戦を強いられる中、さらなる追い打ちとなったじゃがいもの高騰。

大竹雅人店長「(じゃがいもの)大きさをちょっと小さくしなくちゃいけなくなることが、今後値段が(さらに)上がるなら考えなきゃいけないのかな」

『JAめむろ』によりますと、収穫量が減ったことで今季の出荷は例年より早く終わることが予想されるため、他の産地との切り替えが上手くいくかどうかが今後の価格安定のキーポイントになってくるということです。