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越前がに“異常な値上がり”GoTo影響?

2020年12月11日 22:01
越前がに“異常な値上がり”GoTo影響?

冬の味覚、ズワイガニのトップブランド、「越前がに」が今、異常に値上がりしているというんです。理由の1つは、とれるカニが減っていることですが、もう1つ、新型コロナウイルスが流行した、今年ならではの、理由があることがわかりました。

あっつあつの鍋から出てきたのは、あかくゆであがった、おおきなカニ。その中には、足の先までたっぷり入った身に、甲羅に詰まった濃厚なカニみそ。

都内にあるお店「ふくい、望洋楼」で味わえるのは、福井から産地直送で送られてきた、ズワイガニのトップブランド「越前がに」。
思わず一気にほおばりたくなる、そのお味は、ぎゅっと詰まった身が、とっても甘くて、口の中でとろける食感が、たまらないということです。

こちらのお店では、年末の主力メニューだという、越前がに。しかし、今年はある心配が…。

ふくい、望洋楼仕入れ担当 尾崎崇さん「仕入れに関しては非常に痛いです。小さいサイズが倍以上していて」

例年に比べ、一部の越前がにの仕入れ値が、倍以上に増加しているといいます。

尾崎崇さん「僕らの中でも原価率というか、そこら辺は泣きながら。でもやっぱりお客様に、おいしいカニを食べてもらいたい」

産地では、いったい何が起きているのでしょうか。11日朝、福井県の漁港を訪れると、大量のカニが水揚げされていました。

水揚げされていたのは、水槽いっぱいの越前がに。豊漁に喜びを見せていますが。

越前町漁協 小倉孝義専務「ここでは3割くらい(漁獲量が)落ちています。福井県全体が少なくなっています」

実は今年は、福井県によりますと、先月の漁の解禁以降、県全体の漁獲量は去年のおよそ8割に減少。そのため、競りで取引される越前がには。

小倉孝義専務「高いです。平均単価で5割くらい高くなっています」

去年より、取引価格が5割増しに。漁獲量の減少だけでは、説明がつかないほどの、異常な高値となっているというのです。その原因はどこにあるのか。

漁港近くの道の駅には、多くの観光客の姿がありました。その手ににぎられていたのは、GoToトラベルの地域共通クーポン。

千葉からの観光客「これを使ってGoToトラベルで」

埼玉からの観光客「そりゃ買いやすいでしょ」

特に今年は、クーポンを利用して、越前がにを購入する観光客が多いといいます。

道の駅越前うおいち 山田真寿美店長「越前がにの味を知っている人は、高くても買っていかれる方がいます」

異常な高騰の、原因のひとつが、実はGoToキャンペーン。クーポンを使えば、価格を抑えて購入できるため、越前がにの需要が増加。

その結果、さらに数が少なくなり、異常な高値となっていたのです。道の駅では、不足を補うため、他のカニを仕入れて対応していました。

影響は、町内の旅館にも。GoToトラベルで、お客がもどってきたという旅館「旅館うらしま」の売りは、やはり目の前の、日本海の潮騒を聞きながら食べる越前がに。宿泊客もこれを目当てに、訪れるといいますが。

旅館うらしま女将 山野礼子さん「(客は)たくさん来るようになったけど。『ごめんなさい(越前)がに高かったから、ちょっとお値段上げさせてもらう』って、そういうことはできない」

宿泊客に出すため、高くても、越前がにを買わざるを得ないということです。この先、荒れた天気が予想され、漁に出られないことから、しばらく高値が続きそうだということです。