×

つらい…出来は最高の野菜廃棄 時短影響で

2020年12月3日 21:18
つらい…出来は最高の野菜廃棄 時短影響で

飲食店の時短要請の影響は、こんなところにも出始めています。

茨城県古河市の農家では、今年は台風の上陸がなく、最高の白菜ができたと、需要が高まる冬に向け期待を膨らませていました。しかし…。

茨城県古河市の白菜農家・鈴木弘晃さん「野菜の値段が安すぎて、出しても“赤字”になってしまう」

飲食店などの需要が激減し、4キロ近くある白菜1玉の利益は、たったの10円。箱代などのコストで赤字になることもあるため、畑の3分の1、金額にして100万円以上にもなる、まだまだ食べられる白菜を廃棄しています。

そこに、今週追い打ちとなる“知らせ”が届いたのです。

飲食店などに対する午後10時までの“時短要請”が、地元古河市にも出されました。

茨城県古河市の白菜農家・鈴木弘晃さんは「(経営は)ギリギリですね」「手間暇かけてつくったものを自分の手でつぶすのは、だいぶ心がつらいです」と肩を落とします。

鈴木さんがつくる白菜を直接仕入れている、古河市の居酒屋「酒遊海鮮おじま」の尾島武雄店主は、「ほとんど宴会が中止になっていますから、(たくさんの白菜を)なかなか入れるわけにはいかないですね」と話しました。

   ◇

最高の出来なのに行き場を失う野菜は、神奈川県三浦市の直売所でも――

うらりマルシェやさい館・二谷圭介館長「(お客さんは)4割減くらいになっています」「もうちょっと売れてもらわないと、12月はかき入れ時なので」

感染が再拡大する中、GoToのトラベルの利用客が減少し、売り上げは先週末から減少傾向に。さらに今、東京の市場でも軒並み野菜の価格が下落しているのです。

地元の大根農家も“時短要請”のあおりを受けています。

神奈川県三浦市の大根農家・鈴木正一さん「1箱100円じゃ出しても(採算が)合わない。(出荷用の)箱が100円かかるから」「時短で飲食店が営業できません、大根全然売れませんじゃ、本当なんとかしてほしいよ」

そのため、鈴木さんは、最高の出来だという大根を車へと積み込み、野菜の残りカスなどを飼料へとかえるバイオマスセンターに搬入しました。最近は週3回も大根を廃棄しているということです。ここには他の農家からも、大量の大根が持ち込まれるそうです。

バイオマスセンターを運営する三浦地域資源ユーズ・加藤重雄総務部長「昨年11月は、1か月で約220トン。今年(11月)は約394トン。(大根の廃棄量は)ほぼ2倍といっても過言ではないと思います」

鈴木さんは、国や農協の支援を受けられず、冬を越すため40年以上の農家生活で初めて「収入保険」に加入すると話します。

今望むことは――

神奈川県三浦市の大根農家・鈴木正一さん「家でも食べてほしいんだけどね」「いっぱい食べてほしい。みんなが食べてほしい」