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コロナで進む”東京離れ”茨城・秋田の取組

2020年10月28日 19:43
コロナで進む”東京離れ”茨城・秋田の取組

コロナの影響で今、東京を離れる人が増えてきています。統計を取り始めて以来初めての事態の中、茨城県・秋田県が東京からの移住者の呼び込みに力を入れています。
 
■進む”東京離れ”統計を取り始めて以来初めての事態
 
総務省が27日に公開した人口移動の報告によると、2020年の5月と、7月以降の3か月連続で、東京から転出した人の方が多くなっています。 これは外国人を含めた数で統計を取り始めた2013年7月以降、初めてのことです。 
 
その理由について、総務省の担当者は 
「コロナの影響も あるかもしれない」 
「テレワークが増えたこともあり、都心から郊外に移住した人が増えたのかも」 
と指摘しています。 
 
■相談件数が倍増の「茨城県」2つのウリ
 
では、東京を離れてどこへいっているのでしょうか。 
 
9月のデータを見ると、東京からの転出先で一番多かったのは神奈川県で、7389人が移動しました。 そのあと埼玉、千葉と続き、その後が大阪、愛知です。 
 
注目は、この次に多い茨城県の892人です。 
先日、茨城は都道府県魅力度ランキングで最下位から脱出しましたが、その理由を茨城県の担当者に聞きました。 
 
都内にある移住相談センターで、茨城県の相談窓口に7・8月に訪れた人は、2019年に比べ2倍以上でした。 
県の担当者は、茨城の「ウリ」は2つあると言います。 
 
(1)東京との「ほどよい」距離 
都心から電車で1時間圏内で通いやすいです。例えば、常磐線で上野から水戸まで65分、つくばエクスプレスで秋葉原からつくばまで45分と、都心の会社に通える距離だということです。
 
(2)全国一の「広さ」
住宅が広く家賃が安い茨城県は、1住宅当たりの敷地面積は395平方メートルで、全国一の広さです。 こうしたことが評価されているのではと考えられます。 
 
さらに、茨城県は10月1日、新たに「ワークライフジャーニー イン イバラキ」 というサイトを開設しました。 
 
県の担当者は、移住のターゲットを20代、30代にしています。中高年・ファミリー層だとなかなか移住しづらいですが、テレワークを機に若者の方が移住しやすいのではないか、ということです。支援制度も拡充させています。 
 
例えば日立市は「ひたちテレワーク移住促進助成金」を設置しました。
テレワークをきっかけに日立市に移住する39歳以下を対象に、住宅を買う場合は住宅取得費が最大で約150万円、 借りる場合は家賃が最大で約100万円助成されます。 このなかには、テレワークの助成として通信機器の購入費など40万円の助成も含まれているということです。 
 
移住を考える人などを支援する団体は、次のように述べています。
「これまで東京や首都圏からの移住先は、長野と北海道が盤石の人気でした。しかしコロナ禍で7月以降は各自治体間の競争状態になっている。地方移住の風は吹いている」 
 
■秋田も移住者呼び込みに注力 首都圏の63社が「アリ」と回答
 
コロナをきっかけに、東京への通勤が現実的でない秋田県も、移住者を呼び込もうと力を入れています。 10月にはPR動画も公開しました。 
 
PR動画にはリモートワークしてる男性が映っていますが、実はそこは「田んぼの真ん中」。仕事の合間に農作業もできるというイメージを打ち出し、市町村ごとに移住してもらうようPRしています。
例えば、由利本荘市は星空の写真を出しています。また、北秋田市はキャッチフレーズ「首都圏まで70分で行けます!」ただし「大館能代空港を使えば」としています。 
 
実際、秋田県は10月に首都圏の上場企業などにアンケート調査しました。 
 
社員が秋田に移住して働ける可能性はあるかと聞くと、559社のうち63社が「ある」と答えました。企業がリモートワークを後押しする姿勢が表れています。9月に東京から秋田へ移住したのは135人にとどまっていて、これからに期待しています。 
 
東京一極集中には、災害に弱いなど様々な弊害が指摘されていて、これを機に是正されると良いですね。東京からの転出がさらに進めば、地方でのビジネスチャンスも増え、人との交流の幅も広がります。 コロナ後の仕事や暮らしはどうありたいか、改めて考えてみたいです。 
 
(2020年10月28日16時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)