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大統領選取材で見えてきた“米国の分断”

2020年10月25日 14:27

最終盤を迎えているアメリカ大統領選。事前投票をする人々への取材からは、「分断」が進むアメリカの現状が見えました。矢岡亮一郎記者の報告です。


◆激戦の地 新型コロナ、デモ対応…評価分かれる

「オハイオを制するものが大統領選を制する」といわれるオハイオ州。1964年以降、ここで負けて大統領になった候補はいません。トランプ大統領としても、支持基盤の白人労働者が多い“ラストベルト”の一角を「絶対に落とせない州」と位置づけています。

オハイオでの両候補の最新の支持率の平均は、その差わずか0.6ポイント。激戦の地で話を聞いてみると、新型コロナウイルス対策や黒人差別の抗議デモへの対応で、その評価ははっきりと分かれていました。

バイデン氏支持の妻「私はバイデン、夫はトランプに投票したわ。アメリカはあまりに分断しているし、コロナはもっと深刻にとらえるべき」

トランプ氏支持の夫「デモ隊が街を燃やす光景には恐怖を感じる。大統領が訴える『法と秩序』は大事だよ。民主党の考えには賛成できないね」


◆「コロナは怖いと思うかい?」

「新型コロナウイルスは恐れるな」と訴えるトランプ大統領。このことを支持者に聞いてみると、逆に質問を受けました。

トランプ氏に投票した男性「コロナは怖いと思うかい?」

──はい

トランプ氏に投票した男性「で、インフルエンザも同じく怖いんだよね。でもコロナの前からマスクを毎日着けてた?着けてないよね。コロナもインフルエンザも一緒なんだよ、風邪の一種だ。もちろん心配はしているし、誰も亡くなってほしくはないけど、コロナを恐れたりはしないよ」


◆「分断」の4年間に疲れ“トランプ離れ”

岩盤支持を感じさせる声の一方で、「分断」の4年間に疲れ、“トランプ離れ”を公然と語る女性にも出会いました。

バイデン氏に投票した共和党員「バイデンに入れたわ。彼なら国を団結させることができる。私はずっと共和党員だけど、今回は絶対バイデンよ」

「分断」という病を患うアメリカ。有権者の声からも、その深刻な現状がうかがえました。