×

GoTo突如の“割引減額”今後どうなる?

2020年10月12日 18:44
GoTo突如の“割引減額”今後どうなる?

行楽の秋本番を迎える中、GoToトラベルの利用者が困惑する事態となっています。週末から、一部の大手旅行予約サイトで旅行代金の割引額や回数を縮小する動きが相次いでいます。なにが起きているのでしょうか?

    ◇

12日朝、広島港に続々と集まる団体客。お目当ては、高速クルーザー船で瀬戸内海を巡るツアーです。デッキの上からは雄大な自然を満喫。潜水艦をすぐ目の前で眺めることもできます。その道中では、およそ900羽のウサギがお出迎え。人気の観光地「大久野島」に立ち寄り、癒やしの体験もできるのです。

瀬戸内に観光客を呼び込むための事業として、3年ほど前から準備を進めていたという、このクルーズ船ツアー。GoToトラベルキャンペーンや県独自の観光支援事業などをフル活用すると、大人1人のツアー代1万4600円が、なんと実質2500円で楽しめます。

しかし、お客さんの中には――。

お客さん「本当はGoToキャンペーン使いたかったのにダメだった」

実はこちらの会社のツアー、当初の予想以上に予約が殺到。

瀬戸内海汽船 航路開発担当 小谷正之取締役「枠等々もありますので今のところはストップしている」

国から割り当てられた給付金の枠が既にいっぱいとなり、GoToを利用した新規のツアーの受け付けを一時中止しているのです。

今月からは東京が追加され、ますます盛り上がりを見せる「GoToトラベル」。

しかし、この週末には突然――。

「Yahoo!トラベル」や、「じゃらん」「一休.com」3つの大手旅行予約サイトが、これまで最大1万4000円だった割引額の上限を3500円に引き下げることを発表。

「楽天トラベル」は割引額の変更こそありませんが、これまで1人何回でも利用可能だったキャンペーンを1回のみの利用とするなど、各社で変更が相次いだのです。

専門家は、その背景について――。

航空・旅行アナリスト 帝京大学非常勤講師 鳥海高太朗さん「10月1日から東京都発着の除外(が解除)、それに加えて地域共通クーポン発行が始まった中で、特に東京都民の宿泊、旅行が急に伸びた」「宿泊予約サイトなどに配分されているGoToの給付枠を使い切ってしまった」

国の予算およそ1兆3500億円が投じられるGoToトラベルキャンペーン。一方で大手旅行会社のJTBやHIS、日本旅行では、こうした割引額の変更などはありません。

さらに、都内にある個人経営の旅行会社で話を聞くと――。

江南トラベル 荒井幹夫代表取締役「うちなんかまだ枠ほとんど残ってますし、同業の私たちの仲間もまだまだ枠を持っていますから。(大手旅行予約サイトが)うらやましいですよね、逆に」

旅行予約サイトにアクセスが集中する一方、こうした旅行会社の窓口を訪れる客は減少傾向に。専門家はGoToをきっかけに、旅行会社の二極化がますます進んでいると指摘します。

さらに、その給付の方法が“負担”となるケースも――。

埼玉県にある人気の複合型リゾート施設「オーパークおごせ」。広大な敷地内では、雄大な自然を満喫。ペット同伴でアウトドアを楽しむことができます。

国への申請が通り、今年9月からGoTo対象となったこの施設。予約は2倍まで増えたといいます。

しかし――。

オーパークおごせ支配人 白石純也さん「全部で3回に分けて申請した額が割り当てられるので」

1度の申請に対し、給付は3回に分割。2回目までの分は既に使い果たしてしまったといいます。次回は11月に配布される予定だと通知されていますが。

オーパークおごせ支配人 白石純也さん「本当は割引で多くのお客様に来て欲しいんですが、どうしても枠があるのでそこは仕方がない部分なのかなと」

次回の給付金が入るまでは、ホームページなどからのGoToを利用した予約を断らざるを得ない状況だといいます。

今回の事態を受け、観光庁はさらなる給付金の配布を検討するとしています。