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中止相次ぐ中、大規模花火大会開催のワケは

2020年8月6日 19:27
中止相次ぐ中、大規模花火大会開催のワケは

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、花火大会や夏祭りの中止が相次ぎ、関係する業者が窮地に立たされています。そんな中、静岡県・熱海市で、感染対策をし、この夏初めての大規模な花火大会が行われました。準備を続けた花火師の思いとは?

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今年は誰もがあきらめていた夏の祭典、花火大会。5日、静岡県・熱海市で、この夏初めての大規模な花火大会が行われました。

その夜空を彩った花火師たち。

花火師「少しでもコロナが落ち着いてくれればという思いをこめて花火を」

新型コロナウイルスの影響で、花火大会や祭りの中止が相次いでいる今年の夏。それを生業にする業者は、窮地に立たされています。

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かき氷機や綿あめ機など、夏のイベントの機材をとりそろえているこちらの会社。

藤田道具・藤田雅博社長「レンタルする人がいなくなってしまって、今年は(売り上げが)ほぼないくらい」

倉庫に眠ってしまった夏の風物詩。

こちらも祭りには欠かせない存在、提灯。しかし、今年はやはり…。

内藤提灯店 三代目・内藤誠店主「仕事も減っちゃってますので。(夏祭りなど)人が集まる場所って元気をもらったりってあるじゃないですか。残念というか寂しい気持ちになりますね」

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花火業界も苦況に立たされています。花火師の瀧村元晶さん(31)。先月、花火玉の在庫を見せてもらうと…。

花火師 株式会社イケブン・瀧村元晶さん「今年の分は全部倉庫に眠っているような状態です」

そんな中。今回、熱海市がこれまで中止していた大規模な花火大会を決行すると発表。

密を避ける対策や、打ち上げ時間を短くするなど、十分な感染対策を整えた上で開催を決めたといいます。

その花火大会のプロジェクトリーダーを務めることになった瀧村さん。

瀧村元晶さん「こんな状況の中でも(花火を)上げていただけるというのは非常にありがたい。全力を注いで打ち上げるくらいの勢いでやりたいと思っています」

3か月以上をかけ、準備をすすめてきました。

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そして、迎えた当日。コロナ禍での大規模な花火大会。打ち上げ方にも特別な工夫がされていて…。

瀧村元晶さん「より派手にというか、普段より迫力があるような見え方にはしてあります」

例年、30分で5000発の花火を打ち上げるところ、今回は15分で5000発に。感染対策として半分の時間となった花火大会でも、見応えのある花火にするといいます。

瀧村元晶さん「非常に楽しみな面も、心配な面もあります。完璧に完璧にいきます」

そして、日が沈み、花火を待ち侘びる人々。

感染対策に気をつけながらも戻ってきた、夏の光景。

本番30分前。最終調整に入る瀧村さん。いよいよ、本番を迎えます。

「御一緒にご唱和ください」

「3、2、1…点火~!!」

距離をとり、密を避け、久々の浴衣を身にまとい、夏の夜空を一斉に見上げた人々。そして、迎えたクライマックス。

「空中点火」

夏の夜空を華麗に彩った花火大会。

埼玉から旅行に来た家族「カラフルな花火を見られてうれしかった」

埼玉から旅行に来た家族「いい思い出になりました」

瀧村元晶さん「自分でも満足のいく出来栄えではないかなと。コロナの中でも(花火を)見たいって人がいる限りは、なんとかして花火を打ち上げるきっかけを作りながら、今後もやっていきたいと思います」