×

日本は感染拡大 海外「封じ込め」成功例は

2020年7月24日 19:42
日本は感染拡大 海外「封じ込め」成功例は

23日、東京では366人の感染が確認され、初めて300人を超えました。感染者数が増えているのは東京だけではなく、大阪府と愛知県の知事は「第2波」との認識を示しました。一方で、海外では感染拡大の封じ込めに成功した例もあります。


■全ての世代で感染者数が増加

23日に東京で新たに確認された感染者数は366人と過去最多となりました。全国でも981人と過去最多となり、「第2波」ともいえる状況になってきています。

23日の東京の新規感染者数を年代別に見てみると、20代と30代が多くを占めていますが、全ての世代で感染者数が増えていることがわかります。

内訳をみますと、“夜の街”関連が47人、家庭内が34人、会食が23人、職場が14人となっていて、“夜の街”だけではなく日常生活のあらゆる場面に感染リスクがあるといえます。

また、ここ1週間ほどで感染者が増えているのが23区の外側の多摩地域で、島しょ部を除く全ての保健所から感染の報告があがっていて、地域的な広がりがみられます。


■感染者が木曜日に増えるワケ

なぜこんなに感染者数が増えているのでしょうか。実はこれまでの感染者数を見ても、木曜日が多い傾向があります。検査数は週明け月曜日が多く、検査をしてから結果が出るまで3日程度かかります。木曜日の感染者数は、週末の医療機関の休みを経て週明けに検査に行った人の数が反映されているとみられます。


■入院者数も増加 安心できる状態ではない

入院している人の数も増えています。東京都内では、23日の時点で964人が入院していて、ここ2週間ほどで倍増しています。病床数は2400で、入院者数が964人なので約4割が埋まっている状況です。病床を確保するには2週間以上かかり、マンパワーも必要なため、安心できる状態ではないといいます。

さらに、入院するまででもない軽症患者や無症状の人は、ホテルなどの宿泊療養施設が受け入れることになっています。現在都内では168人がこうした施設を利用していて、東京都では江東区のホテルを新たに開設して、220人が滞在可能となっています。現状3つのホテルが利用できて、今月中にさらに3つの施設を開設し、あわせて2000室以上を確保する予定だということです。


■「第2波の山が来ている」

感染者数が増えているのは東京だけではなく、23日、大阪では104人、愛知では97人の感染が確認され、両県の知事は「第2波」という言葉を使い危機感を強めています。

大阪府・吉村知事「感染者の数だけを見れば、これは第2波に入ってきていると評価すべきだと思うし、その前提で動いています」

愛知県・大村知事「警戒領域だということをご認識いただきたい。そして第2波の大きな山が来ているということをご認識いただきたい」

このように各地で第2波が警戒されているわけですが、海外では感染拡大の封じ込めに成功した例もあります。


■米・ニューヨーク 3つの封じ込め対策

まず、アメリカ・ニューヨークでは、4月には新規の感染者数が1日当たり1万人を超えていたのですが、今月22日には約800人までに抑えられています。

なぜここまで抑え込むことができたのかというと、まずは、徹底した「PCR検査」です。街のいたるところに簡易の検査施設を設置して、誰でも、いつでも、何度でも、無料で検査ができる仕組みが整えられているんです。この結果、最近は1日7万~8万件ほどの検査を実施しています。

さらに「接触者トレーサー」というものがあります。「トレーサー」というのは「追跡する人」という意味です。感染者に電話をかけて、その感染者との接触者を探し出し、その人にも検査を受けるよう促します。この「接触者トレーサー」が3000人規模で採用されています。また、大学でこの「トレーサー」を養成するコースまで登場したということです。

そして「スリーストライク制」というものがあります。アメリカでは各地で経済が再開していますが、ニューヨークはいまだにレストランの店内飲食はできず、テラス席のみ営業可能です。酒の販売は、食事と一緒にオーダーした場合のみOKで、こうした規則に違反した店は取り締まられ、3回違反すると営業免許が剥奪されてしまいます。つまり、「スリーストライク」でアウトということです。

さらに、AIなどを使ってSNSなどを監視して、違反している店の写真などがアップされていたら、警察が乗り込んで取り締まるほどの徹底ぶりだということです。


■大規模クラスターが発生した北京の対策は?

中国の北京市では先月、大規模なクラスターが発生した際、市外への移動制限を行いました。PCR検査を受けて「陰性証明書」がなければ、市民は北京市を離れることができないということなんです。しかもこの証明書の有効期間は7日間のみです。

日本テレビの北京支局の特派員も、取材に出るたびに検査を受けて最新の「陰性証明書」を持ち歩かなければならないので、かなり苦労したということでした。現在は解除されていますが、そこまで徹底した対策を行ったということです。

このように感染拡大の封じ込めに成功した海外の例を見ると、無症状者も含めて徹底的に感染者を洗い出し、早い段階でクラスター発生の芽を摘むという覚悟のようなものが感じられます。

翻って、日本では全国的に感染者が最多となる中、「GoToキャンペーン」が強行されています。いまが本当に経済と感染防止の両立を目指すタイミングなのか。改めて考えさせられます。

2020年7月24日放送 news every.「ナゼナニっ?」より