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感染公表 励ましの声も…いま伝えたいこと

2020年6月25日 4:37
感染公表 励ましの声も…いま伝えたいこと

飲食店を営む男性が、店から感染者が出たことを公表した上で営業を再開しました。家族会議をして決断したこの公表には、大きな反響があったといいます。

そして、まだ世の中で“3密回避”が呼びかけられる前にクラスターが発生した展示会で感染した男性。退院後に、感染のことを記載した自作のチラシを近所に配りました。実名を公表した今、思うことは──

◆“死を覚悟した”元感染者の店長が語る経験

熊本市の『馬料理 二代目天國』。

店長「お客さんの顔を見るのも幸せですし、生きてるってことが幸せ」

“生きていることが幸せ”、こう語るのは元感染者の男性。今月から、店から感染者が出たことを公表した上で営業再開しています。

異変は今年3月。

店長「(3月)26日ですね。熱が上がってきて、普通の関節痛じゃなかった。腰も関節も全部痛かった。『もしかしたら』というのは頭によぎりました。ポンカンをむいたときに、においがしなかったんですよ。食べても味がしなかった」

入院し、感染が分かった後も症状は悪化。集中治療室に移った際は“死を覚悟した”といいます。そのとき、家族に送ったLINEには……

「皆と出会えて本当に幸せでした」

──大丈夫!絶対治る!(妻)

──うん大丈夫!治るよ(娘)

「まけんバイ」

自身や両親が経営する2つの店舗で、妻と母親、従業員も感染しましたが、すでに全員退院。徹底した消毒や感染対策をとり、再び店を開けました。

◆店名公表に踏み切った理由…大きな反響が

葛藤しながらも、店名公表に踏み切った理由は──

店長「みんなで家族会議した結果、お客さんのことを思うんだったら感染拡大防止のために早く公表して保健所に行って、接触者と思われる方に連絡したほうが絶対いいと」

家族の後押しもあっての決断には、大きな反響があったといいます。

店長「公表してから本店のほうに電話がひっきりなしにかかってきて、24時間鳴りっぱなしで」

誹謗中傷が一部あったものの、8割は励ましの言葉でした。

元感染者・店長の母親「常連さんとか知り合いの人とか、お花を持ってきてくれたりね。うれしかったですね」

◆今、伝えたいこと

さらに、県内の学校からは人権の授業で紹介させてほしいとの依頼が。

店長「子どもたちに向けたビデオレターと、自分の体験したことを先生に伝えて」

体験を聞いた子供たちからは「僕は応援しています。がんばってください!」と。ほかにも「今までで一番自分のこととして考えられた」などといった反応があったといいます。

今、伝えたいことは──

店長「気持ち的にちょっと罹患(りかん)する人が少なくなって、緩んでいるのかなと自分は感じています。なので、またいろんな所からいろんな人が来るので、正しく恐れて、正しく行動してほしい」

◆実名公表の男性“隠し通せるものでもない”

そして、北海道北見市で電器店を経営する奥村光正さん(67)も感染を公表した一人です。

奥村光正さん「ちょっとコロナくさいぞということは、入院する前から、ある程度のお客さんは分かっていた。もう隠し通せるものでもないし」

北海道の会見(3月2日)「74例目の方でありますが、年代は60代で性別は男性」

道内74例目となった奥村さんは、クラスターが発生した展示会で感染。まだ世の中で“3密回避”が呼びかけられる前のことでした。

◆退院後、自作のチラシを近所に配布…今思うこと

退院後、奥村さんが行ったのが、感染のことを記載した自作のチラシを近所に配ること。

──治りました 身体元気でもとどおり

多くの励ましの声が寄せられた一方、心ない言葉も。

奥村光正さん「退院してすぐお客さんから電話がかかってきて、『来なくていいから』と。つらいですよね。ただひたすら我慢なんですよね、何も反論できないんですよ」

実名を公表した今、思うことは──

奥村光正さん「退院してきた人には本当に、自分たちの不安より大きい不安を乗り越えてきたんだなという気持ちをもっていただきたい」

(*6月24日放送『news zero』より)