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PCR検査「陽性率」出せず 阻む2つの壁

2020年4月30日 20:19
PCR検査「陽性率」出せず 阻む2つの壁

毎日発表される新型コロナウイルスの感染者数。一方で、そもそもどのくらいの人が検査を受けているのかがあまり伝えられていないのはどうしてなのでしょうか?


■緊急事態宣言は「全国一律延長へ」

政府は5月6日に期限を迎える緊急事態宣言について、全国一律で延長する方向で調整をしています。安倍首相は国会でこう述べました。

「5月6日までの緊急事態宣言の期間について、その後どうすべきかということにつきましては、専門家の皆様に今、分析をしていただいているところでございます」

国会では明言しませんでしたが、政府は5月1日、専門家会議の意見を聞いた上で対策本部を開き、何らかの方向性を示すとみられます。政府関係者によると、1か月程度の延長となる見通しで、5月いっぱいまでとするか6月上旬までとするかなどが検討されているといいます。

また、外出自粛をどこまで求めるのか、学校再開はどうするかなどについてもぎりぎりまで検討し、5月4日にも正式決定する見通しです。

■PCR検査数 目標の半分にも満たず

緊急事態宣言を解除するか、延長するかを判断する上でカギとなるのが、感染者数。それを把握するために行われるのがPCR検査です。

政府は検査数について「1日2万件」を目指していますが、実際は、一番多くても9369件(4月17日)。目標の半分にも満たない状況です。

どうしてこうなっているのか。検査を受けたくてもなかなか受けられない背景があるからです。厚労省が公表したデータによると、相談センターに症状を訴えて相談した人のうち、実際にPCR検査を受けられたのは平均して9.6%。1割にも満たない状況です。

■陽性率出せない 阻むのは「2つの壁」

また、感染状況を知るのに必要な、何人検査してそのうち何人が陽性だったかという「陽性率」。それが伝えられていないのには2つの大きな壁があるからです。

1つめの壁は「集計の難しさ」。

例えば、東京都のHPには検査実施件数がありますが、毎日最新の数字が出ているわけではありません。4月30日のHP画面をみると「4/27の合計」との記述があり、検査実施件数は3日前の数字となっています。

さらに、医療機関が保険適用で行った検査は、4月30日時点で4月22日分までしか反映されていません。

検査結果がタイムリーに更新されない理由は、検査数の集計に時間かかるからです。PCR検査には公的な医療機関で行う検査と、民間の医療機関で行う検査があります。

どちらのケースでも、まずは各医療機関が検査結果を集計し、各地の保健所に報告。それを保健所がとりまとめて東京都に報告するシステムで、報告までに段階を踏んでいるので、どうしてもタイムラグが生じてしまうといいます。

2つ目の壁は「検査数の内訳」。

都が公表している「検査実施件数」には、新規の感染者を調べる検査に加え、一度感染した人が退院する前、陰性になっているか確認するために受けるものも含まれています。つまり、新たな陽性率を知るための分母にはなっていないということです。

この2つの検査結果を分けて公表できないかと聞いたところ、そこまで分類が追いついていないということでした。

各医療機関や保健所など現場の負担を増やさないため、まずは優先順位が高い「陽性者」の数を早く正確に集計することに力を注いでいて、分母となる「検査数」の集計は後回しになっているのが現状です。

一方で、例えば大阪府などのように民間も含めて検査実施数を毎日集計、公表している自治体もあります。東京都の場合は全国でダントツに検査数も感染者数も多いので、どうしても手が回らないのが実状だということです。

今後、緊急事態宣言の延長や解除を判断するためには、国民の間にどれくらい感染が広がっているのか、その実態を正確に把握することが何よりも重要なカギとなります。少しでも不安のある人は全員が検査を受けられるよう検査態勢を拡充して、その情報をいち早く公開することが一層求められています。