茨城県境町 自動運転バス実用化の意義
ゲストいち押しのソーシャルグッドなヒトやモノを紹介していただく「recommend」。ホルグ代表取締役社長の加藤年紀氏、一押しは「茨城県境町 自動運転バス実用化」。
――これはどういうことなのでしょうか。
日本初となるのですが、自治体によって自動運転のバスが実用化され、走っていきます。
――これが国内初。
自治体としては国内初です。
――これ、すごくチャレンジングなことですよね。
そうですね。交通課題は、今いろいろな自治体が抱えていますが、なかなか手を打てていない状況があります。国が主導して、自動運転の実証実験は多く行われているのですが、実際に実走行まではいっていません。ただ境町の場合は、そこを実走行にこぎつけてチャレンジングな取り組みをしているのかなと思っています。
――実走行になかなかつながっていなかった理由、というのは何かあるのでしょうか。
やっぱり多くの自治体では予算の壁や、地方自治体特有かもわからないですが、地方議会の理解、職員が実際にそういったテクノロジーを理解しているか、正しく理解してリスクを恐れず挑戦できているかというところが大切になります。境町ではそれができているのかなと思っております。
――境町がそれをできた理由は何でしょうか。
一つは、町長さんのリーダーシップが大きいのかなと思います。最近よくある地方創生の事例でも、小さな町や市が先進事例をどんどん作っていくというケースは増えているのですが、どうしても大きい自治体だといろいろな利害関係者がいるので、なかなか新しいことができない。ただそれを境町はうまく乗り越えて進んでいるのかなという印象です。
――スモールスタートでどんどん広がっていくと。それは民間ではなく、自治体が行うことのメリットにもなるのでしょうか。
そこはですね、本当に自治体だからこそやる意義があるのかなと思っています。視察文化なんかが自治体にはあると思うのですが、自治体は情報をオープンにします。今、実証実験の実走行データはほとんど取れていない。実証実験では取れるのですが、決まった期間のものしか取れない。ただこれが境町の場合は5年間続けていくので、そのデータを常に取得して、周りがそれを見て、あわよくば他の自治体もまねできる。そのような状況が生まれるのかなと思っています。
――なるほど。自分たちのノウハウを隠す必要がないから、自治体がやったほうが広がっていく可能性があるということですね。こういった取り組みどんどん進んでいくといいですよね。
そうですね。おそらく自治体のいいところとして、前例踏襲は悪く言われることも多いですが、逆に言うと前例があることによって他の自治体が動きやすくなるということもあります。
――1つできちゃえばという。
なので、そういう意味で僕は1つ目の前例を作った境町の試みがすごくいいことだと思っています。
■加藤年紀氏プロフィル
ホルグ代表取締役社長。地方自治体を応援するウェブメディアを運営し、活躍する地方公務員にフォーカスした情報を発信。また『地味』『派手』問わず成果をあげている職員を表彰する「地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード」を主催している。さらに地方公務員を支援するオンラインサロンも運営。書籍『なぜ、彼らは「お役所仕事」を変えられたのか?』も出版した。この4月からは、奈良県生駒市の非常勤職員として人事改革にも携わる。自治体職員が能力を生かし働ける環境を作ることを目指している。
【the SOCIAL recommendより】