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香港デモ続く…「裏側に人間ドラマ」が

2020年2月3日 15:54
香港デモ続く…「裏側に人間ドラマ」が

世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見をうかがう「opinions」。今回のテーマは「香港デモ いつまで続く!?」。映像作家・ジャーナリストの小西遊馬氏に話を聞いた。

去年6月に始まった香港での大規模デモは、ついに年を越し元日も大規模なデモ行進が行われました。香港では、中国の圧力によって、香港の自治を保証する「一国二制度」を失う危機感が根強く、今も抗議活動が続いています。

ネット上では…

「香港デモの長期化は心配」
「最近、報道少ないけど、実際はどうなのだろうか?」
「香港に旅行に行っても安全面は大丈夫?」

などのような意見がありました。


――小西さんは、最近も香港に取材で行かれたそうですね。

はい。1週間ほど前に。


――こちらが小西さんの(映像を指して)

こちらが僕が先日撮らせていただいた状況なんですけど、こちらは1月26日(の撮影)ですね。夜の光景です。

危険ではないんですけど、やっぱり突発的にこういうものが起こる可能性があるので情報さえ知っていれば、大きな問題に巻き込まれるってことは、なかなかないのかなっていう感じです。ただ、こういうものがあるのは事実なので、安全ではないですね。


――そうですね。まだまだ混乱は続いているということなんですけれども、そういった香港での現状を目の当たりにして小西さんが感じたこと、見たことをフリップでお願いいたします。

「裏側に人間ドラマ」です。

僕が今回行ってみて、何よりも現場の悲惨さみたいなところであったり激しさみたいなところで鬱々とした気持ちを抱いたというよりかは、僕はすごく美しいなと思った側面のほうが大きいです。

今回の香港デモなんですけど、大きくその構成員を分けると、一番最前線で警察の人たちと戦う、いわゆる“勇武派”といわれる人がいて、彼らは時に武力を行使するときもあるんですけど、基本的に催涙弾などが放たれたときに、傘を立ててみんなを守ったりする、
結構、勇気のある人たちです。

そして彼らがケガをしたり、あるいはデモ隊のみんな、市民の人たちがケガをしたときに助ける“救護班”といわれる救急、レスキューの人たちがいて、そして、それを囲む記者たち。記者も決してプロではなくて、市民たちがスマートフォンとかで現場を、今何が起きているんだっていうことを世界に発信しようと。

そういうことをずっとやっている集団の後ろに、デモのときは何百万人という人が一緒について抗議をする。そういうような中で、やっぱり彼らは、後ろの何百万人がいるからこそ、前の最前線の人たちは戦う。

そして、その前の人たちがいるから、この後ろの何百万人という人たちは、前には出られないけど、私たちもできることをしたいということで、物資を持っていったりとか、前に傘を送ったりとか、ビラを配って、いろんな人に代わって世界に発信してくださいと観光客に配ったりだとか。また、あるいは車でデモの場所までレスキューの人とか、最前線で戦う人を無償で送迎したりとか、レストランは水とかごはんをタダで食べさせてあげたりだとか。

そういう、いろんな助け合いの中で、実はデモというのは成り立っていて、僕はそっちの側面に、こうした激しい事態だからこそみえる人間の本来持っている、ものすごい思いやりだとか、愛し合う美しさみたいなものに感動しました。そんな感じでこのフリップを書きました。


――香港を守るためというか、自分たちのアイデンティティーを守るために皆さんが一致団結しているというところがあるんですかね。意見にもあったんですけれども、長期化が心配という意見もありますけれども、収束というのはどうでしょうか。

実際に、かなりの逮捕者がやっぱり出ているので、デモに参加して、逮捕される人たちが出ていて、参加者自体は下火になっているっていう感じですね。

あと、コロナウイルスのこともあって、やはり外に出て感染するということの恐怖感からなくなってはいるんですけど、実際どうなるかっていうのはわからないんですね。


――早く、静かな元の香港が戻ってくるといいですね。


■小西遊馬さんプロフィル
現役の慶応義塾大学生で学生生活を送りながら、映像作家・ジャーナリストとしても活動をしている。Yahoo!や大手メディアなどの協賛企業から資金を得て、世界中を飛び回りながらドキュメンタリーを制作。これまでロヒンギャ難民や香港デモ、フィリピンの売春問題などを取材。国内外で賞も受賞している。SNSを中心とした発信・講演などを通し、傍観からアクションへの変容を促している。皆がだれかを思いやり愛してあげられるような世界を目指し、情報発信を続けていく。

【the SOCIAL opinionsより】