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楽天参入、5G開始 激動の通信業界

2020年1月2日 5:56

2019年は通信業界にとって「第4のキャリア」である楽天の通信事業への参入延期など激動の1年となった。

大きな動きがあったのは2019年9月。10月からの通信事業参入を表明していた楽天が事実上の「延期」を発表したのだ。同時に発表されたのは「無料サポータープログラム」。抽選で当たった5000人が東京・名古屋・大阪の地域限定で楽天モバイルの回線を無料で使えるという限定的なサービスだ。

楽天の三木谷社長は試験的なサービス開始となったことを「予定通り」と説明し、「延期」ではないことを強調した。

本格的なサービス開始時期は遅くとも4月になるとされているが、ITジャーナリストの石川温氏は「試験的なサービスとして開始したのにもかかわらず、すでに通信障害を起こしている。今後、本当に安定したネットワークを提供できるのか疑問」と技術面での課題を指摘している。

一方、大手通信キャリアNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社は、楽天の参入前に新しいプランを相次いで発表。たとえばNTTドコモは、4月に携帯電話の通信料を最大4割値下げする新しい料金プランを発表。KDDIは8月下旬、使えるデータ量に上限がなく動画配信サービス「Netflix」が利用できるプランを発表、ソフトバンクは9月に機種代金支払いが最大半額になるプログラムを発表していた。

楽天が参入した場合は、さらなる手を打つとみられていたが延期を受け、様子見ムードに。政府が考える携帯料金の大幅な値下げにはいたっていない。

一方、2020年春には超高速で大容量の通信が可能となる次世代通信技術=5Gの本格サービスが始まる。5Gが広まれば、4Kや8Kなど高画質の映像をスムーズに見ることができる。膨大なデータをリアルタイムで遠く離れた場所に送れるため、これまでは時差があったり複数の人の会話が聞き取りづらかったテレビ電話もスムーズにできるようになる。

こうした技術で、たとえばスポーツを観戦しながらARグラスに選手の情報を映し出す新しいスポーツの楽しみ方も可能となるなど、情報通信の世界は新たなステージへと突入する。

5Gの革新的なサービスと楽天参入による価格競争の激化は2020年春以降に始まる。通信業界が動きを見せる、この2020年に私たちは改めて、どのような通信サービスがどのような価格で提供されるのか、しっかりと情報収集をした上で自分にあったサービスを選ぶべきである。