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ノーベル賞・吉野さんの“原点”の研究室

2019年12月25日 5:28

先日、吉野彰さんが、ノーベル化学賞を受賞したニュースをお伝えしました。長年の功績が認められた吉野さん。どのような人なのか、市來玲奈キャスターが、同じ研究室で働いていた研究者を訪ねました。

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市來アナ「こんにちは。日本テレビアナウンサーの市來と申します」
菖蒲川さん「旭化成の菖蒲川と申します」
市來アナ「よろしくお願いいたします」

研究員の菖蒲川仁さん(40)。およそ7年間、吉野さんと一緒に研究されてきたんだそうです。

菖蒲川さん「吉野さんがここで、リチウムイオン二次電池の研究開発を始めました」

こちらがおよそ30年前、吉野さんが研究を始めた頃に使っていた研究棟。その当時、使っていた実験室も残っているということで、今回は特別に、撮影することが許されました。

廊下の先には…。

菖蒲川さん「こちらが実験室になります」
市來アナ「実験室! はい、お願いします。うわ~失礼します。うわ、初めて入りますね…」

吉野さんも使っていた、リチウムイオン電池の材料を開発する時に使う実験室なんだそうです。

菖蒲川さんと吉野さんの年の差はおよそ30歳。入社した当時は、すでにリチウムイオン電池は普及し、吉野さんは第一人者となっていたそうです。

菖蒲川さん「旭化成に吉野さんがいらっしゃるのは知っていましたので、何とかして一緒にお仕事がしたいなと思いまして入社しました」

最初の出会いは…。

菖蒲川さん「新人歓迎会で会ったときに、自然と足が動いて、勝手に自己紹介を始めていました」

市來アナ「結構勇気いりませんでしたか?」

菖蒲川さん「そうですね。ただまあ、自然と体が動いていたのを覚えています」

その後、最初の人事異動で、なんと吉野研究室に配属されることに。初日は吉野さん自ら、敷地の正門まで迎えに来てくれたそうです。

菖蒲川さん「笑顔あふれて、すごい気さくな優しい方で。ときどき厳しいアドバイスも…」

市來アナ「実際に吉野さんからいただいたアドバイスで、印象的だったことはありますか?」

菖蒲川さん「やはり、日々実験しているとですね、基礎となる原理原則っていうのを忘れてしまうことがあるんですけれど、やはり最初の原点に戻るべきだということをですね、常々言っていただきました」

およそ7年間、吉野さんの研究室で働いた後に、アメリカへ留学した菖蒲川さんは、帰国後、もっと視野を広げられたらと、燃料電池の研究に携わることに。

燃料電池とは、水素と酸素を化学反応させて発電する電池のこと。二酸化炭素を排出しないため、温暖化対策の一つとして世界から注目されているんです。

菖蒲川さん「今後ですね、ノーベル化学賞をとったリチウムイオン二次電池と燃料電池を合わせてですね、日本の技術力を高めて、全世界にアピールできたらいいなと思います」