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「近大イクラ」も登場 大学が養殖魚開発に

2019年11月28日 20:41
「近大イクラ」も登場 大学が養殖魚開発に

次々とブランド養殖魚を世に送り出している近畿大学が、「近大イクラ」を発表した。いま、大学が養殖魚の開発に続々と乗り出しているが、その背景には、魚を取り巻く「ある事情」があった。

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近畿大学が銀座にオープンした料理店。28日、注目の新メニューが登場する。

記者「通常のイクラよりも少し黄色みがかっている」

その名も「近大イクラの軍艦巻き」。一般的なイクラと比べて、色が黄色く、値段は少し高め。

実はコレ、サケの卵ではない。

記者「プチプチした食感が楽しめます。あっさりした塩味が感じられます」

味はイクラと変わらぬクオリティー。いったい、何の卵なのだろうか。

近畿大学水産研究所・杉村卓哉料理長「近大産アマゴから初採卵したイクラでございます」

「アマゴ」という淡水魚の卵だった。

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その生産現場を訪れた。

近大イクラの養殖を行う近畿大学水産研究所・稻野俊直准教授「(Q.どのくらいいる?)1万尾くらい入っています」

近大イクラを生み出していたのは養殖のアマゴだった。健康管理が難しい上、2年間育ててようやく卵を取り出すことができるという。養殖を始めたのには、ある深刻な理由があった。

近畿大学水産研究所・稻野俊直准教授「サケが資源的に減っているので、資源を守る手助けになればということで」

サケの漁獲量をみると、年々減少傾向となっていて、ここ数年は特に低い数値だ。そこで、注目したのが、同じサケ科の「アマゴ」。

43年前からアマゴの養殖を研究していて、養殖技術を確立し、さらに、ここ数年で、良質なイクラの生産にもたどりついた。

今後は、より多くの卵を持つアマゴの開発に取り組むという。

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一方、冬にかけて旬を迎えるサバ。近年、流通量の減少などが、懸念されているが、佐賀県唐津市に救世主が登場。

記者「すごい元気です。丸々と太ったサバです」

それは、天然モノではなく、養殖のサバ。その名も「唐津Qサバ」。「Quality」などから頭文字をとって名付けたQサバ。

初期投資に6億円をかけ、7年前、九州大学と市が共同開発に乗り出したという。

とれたてをさばいてもらい、味を確かめてみた。

記者「甘いです。サバのあぶらが口いっぱいに広がって、食感もプリプリです」

天然モノと変わらぬおいしさ。

「唐津Qサバ」は、今では、地元の飲食店を中心に流通し、名物料理として、人気が高まっているという。

さらに、天然のサバにはないメリットがあった。

唐津市・水産業活性化支援センター 村山孝行センター長「アニサキスという寄生虫、食中毒を引き起こすんですけど、寄生虫の発生をものすごく低く抑えられる」

アニサキスは、サバが自然界のエサを食べることで体内に寄生する。養殖サバは人工的なエサで育つため、これまで、アニサキスが見つかった例はないという。

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生産者は、天然モノ以上の品質を追求している。