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知的障害というこだわりあるから描ける世界

2019年10月3日 16:11
知的障害というこだわりあるから描ける世界

世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見を聞く「opinions」。今回の話題は「知的障害者の多彩な可能性」。福祉を軸に事業を展開する松田崇弥氏、松田文登氏に話を聞いた。

障害者や難病を患う人のうち、年齢や体力などの理由から、企業などで雇用契約を結んで働くことが困難な人が、軽作業などの就労訓練を行う就労継続支援B型事業所。そこでの作業する人の、月の平均工賃は1万5603円にとどまっている。


――この現状を、どう捉えてらっしゃいますか?まずはフリップをお願いします。

松田崇弥さん:
「障害が絵筆に」と記載させていただきました。

先ほどお伝えしたように、知的障害というものの強烈なこだわりというものがあるからこそ描ける世界があるというふうに私たちは信じてやっております。障害があるからこそ描ける世界に、お金がついていくっていう仕組みを作れたらなというふうに思っています。

就労支援B型など様々なところが一生懸命やられてると思うんですけれども、やはり「できないことをできるようにしていこう」ということ以上に、「すでにできること」であるとか「すでに得意なもの」をさらに伸ばしていこうという流れを、もっともっとつくれたらいいんじゃないのかなと私たち自身は考えております。


――障害がない人の基準で見てしまってはいけないですね。実際に取り組まれているというこちらの写真は何でしょうか?

松田文登さん:
こちらは建設現場の仮囲いといって、命を守るためだけの道具になっていたっていうところに「ソーシャル美術館」みたいなものを作っています。障害のある方のアートというものを、まず見てもらうきっかけをつくっていけたらと思っています。

これは渋谷の方で見ることができます。60~70メートルぐらいの仮囲いを美術館にしていて、これを全国各地で仕掛けていきたいなというふうに思ってます。

松田崇弥さん:
これも金額をちゃんと障害のある方にバックしていくっていうモデルで、考えてやっております。


――なかなかビジネスまでできていなかった?

松田崇弥さん:
そうですね。すごく成功している施設もある中で、やっぱり福祉施設で働かれている方は「支援員」という名前で働かれてると思うんですけれども、(障害者は)「支援する対象である」という考え方が世の中の共通認識としてはあるんじゃないかなと思ってまして。

やっぱり支援対象からどんどん脱却していく流れを、うちの会社が先駆的な取り組みで変えていけたらなと思っています。


――こういうアートを見ると、見る目が変わっていきますね、素晴らしいきっかけだと思います。


■松田崇弥氏、松田文登氏プロフィル
ヘラルボニー社長の松田崇弥氏。副社長の松田文登氏。障害者アートを活用するプロジェクトや福祉について語り合う場の創出など福祉を軸に事業を展開。自閉症の兄を持つ2人は幼いころから福祉施設を訪れるなど、知的障害がある人たちと関わってきた。2016年に障害者のアートを生かした傘やネクタイのブランド「MUKU」をスタート。知的障害者がもつ無数の個性をいかし福祉を起点にあらたな文化をつくりだしている。

【the SOCIAL opinionsより】