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日航機墜落34年“飲酒”相次ぎ空の安全は

2019年8月12日 19:54
日航機墜落34年“飲酒”相次ぎ空の安全は

群馬県上野村の御巣鷹の尾根に日航機が墜落し、520人が亡くなった事故から12日で34年。事故後、日本航空は安全運航に取り組んできたが、去年から飲酒による不祥事が相次ぎ、再び「空の安全」が問われている。対策はどうなっているのだろうか。取材した。

今年も、慰霊の日を迎えた群馬県上野村の御巣鷹の尾根。多くの遺族が祈りをささげた。

34年前の1985年8月12日。乗客乗員524人を乗せた日本航空123便が墜落。520人が犠牲になった。このような事故を二度と起こしてはならない…。事故を教訓に日本航空は安全を誓ってきた。

しかし、安全に対する姿勢は再び問われる事態に。去年、イギリス・ロンドンの空港で、フライト前の副操縦士から、基準値を大幅に超えるアルコールが検出され逮捕されるなど、パイロットや客室乗務員の飲酒による不祥事が相次いで発覚した。

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美谷島邦子さん(72)。34年前の事故で9歳だった息子・健さんを亡くした。今は、各地で子どもたちに「空の安全の大切さ」を伝える活動を続けている。そんな中、起きた飲酒問題。

美谷島邦子さん「最後に命を預かるのは人間なんですよ。自分がお酒を飲んで飛行機の操縦席に座れるかと思ったときに、やっぱり命を後ろに背負っているわけですから、そこを(事故から)34年間、一緒にやってきたじゃないのと本当に思いたい」

安全を最優先にしてきたはずの日本航空で、なぜ飲酒問題は起きたのか…。

日本航空運航本部、北原宗明副本部長「結局のところ安全を守るという行為が、何につながっているかという意識が、そこが少ないために、場合によっては今回の一連の(飲酒)事案のように『自分だけは大丈夫だ』というような、低い意識につながってしまった部分がある」

日本航空も対策を打ち出している。パイロットのアルコール検査の様子を見せてもらう。ロンドンの事件では、副操縦士が不正に検査をすり抜けていた事が分かっている。そこで…。

日本航空・横田淳一機長「例えば息の量が足りないと…このようにエラーが。これで不正を防いでいます」

問題発生以降、アルコール検査器をすべて新型に変更。数値も第三者が必ず確認するようになった。さらにフライト前、パイロットが必ず確認するシステムにも、今月から新たにアルコール検査をしていないと警告が出る仕組みを導入した。

横田淳一機長「きょうは明日の朝が早いからもう飲むのをやめようとか、きょうは1時間で終わりにしようとか、事前に自分たちで歯止め、コントロールを設定してお酒と付き合うようになった」

パイロットの自己管理への意識は、これまでより強くなったと言う。事故から34年、再び問われた「空の安全」。

弟を亡くした女性「(Q飲酒問題について)520人それぞれの悲しみを分かってくださいと。おそらく同じ事が繰り返されちゃうんじゃないか心配」

多くの命が失われた凄惨な事故。“確実な”空の安全が求められている。