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“HeForShe”まず「知る」ことを!

2019年7月5日 17:14
“HeForShe”まず「知る」ことを!

世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見を聞く「opinions」。今回の話題は「“HeForShe”とは?」。日本テレビ報道局・政治部の小西美穂解説委員に聞く。

「HeForShe」――6月30日の日曜日、性別にかかわらず、誰もが平等に機会を与えられる社会の実現をめざす「UN Women(国連女性機関)」が主催のイベントが行われた。来日した国連女性機関のムランボ=ヌクカ事務局長は「世界の国会議員のうち、女性議員は25%にすぎず、意思決定しているのは男性だ」として、活動に男性を巻き込んでいくことの重要性を訴えた。


――このイベントのタイトル「HeForShe」というのはどういう意味なんでしょう。

女性が直面する不平等や差別をなくすために、男性も一緒に闘っていこうという運動なんです。2014年に「UN Women」がスタートさせて、著名人や企業経営者など社会的に影響力のある男性が次々と参加の意思表明をしたんです。これが日本でも立ち上がったということなんです。

なぜ男性の理解が必要なのかというと、女性が直面する不平等や差別などの問題は、多くの場合、男性との比較や関わりの中で生まれてくる場合が多いんです。だから、女性だけが話し合っているだけでは変えられないんです。今まで関心がなかった(外野席や場外にいた)男性たちも一緒に入ってきて、そして共に、ジェンダー平等を理解して、闘っていきましょうということなんですね。


――先日のイベント、小西さんも参加されたんですよね。

はい。まず驚いたのがオープニングを飾った早稲田大学の男子のみのチアリーディングチームです。チアリーダーは女性がやるもの、これも固定観念なんです。そういう固定観念にとらわれない自由な姿で、すごい迫力あって面白かったんです。

そして、今回は、日本サッカー協会の田嶋幸三会長も「HeForShe」に参加宣言をされました。スポーツ界での旗振り役になると話されて、頼もしいなと感じました。最初の本格的なイベントでしたが、広がりを感じましたね。


――ただ、日本は遅れているんですね。

はい、著しく遅れています。世界各国の男女平等の度合いを示す指数がありますが、149か国中、日本は110位なんです。例えば、女性議員の少なさ、管理職に占める女性の割合の低さ、男女の賃金の格差という問題もあります。

日本は、「女性の活躍」が叫ばれているけど、現状はまだまだです。「女性の地位向上」は、先日のG20でも議題になるほど、いまや世界共通の大きなテーマなんです。各国が積極的に取り組んでいるので、日本がこのままのペースだと、ますます世界から取り残されるという危機感を感じています。


――では、その遅れている現状を改善するためにはどうしたらいいんでしょうか。

何も難しく考えないで、『まずは…知ること』と書きました。ジェンダー平等というと、男性は引きがちなんです。責められていると感じて、「セクハラしてません」とかになってしまうんです。そうでなくて、「ジェンダー平等」は女性だけの問題ではなくて、いわゆる、「男らしさ」「女らしさ」という固定観念も含む考え方なので、男性だって、つらい思いをしていることもあるんです。例えば「男のくせに稼ぎが悪い」とか「男なのにひ弱だ」とか、こういうステレオタイプの男性像から解放されるのは男性にとってもいいことなんです。

「He For She」を直訳すると「彼女のための彼」となって、自分は彼女のためにやってあげてるんだと――これは誤解なんです。「He With Her」という、共に自分も主体的になろうということなんです。

男性、女性でなく、みんなの問題として、まずは身近な人、家族、同僚、友人と向き合って、男女が固定観念に縛られているために、どんな理不尽なことがあって、生きづらさがあるか、まずは「知ること」がとても大切です。そうすると今まで知らなかったことって結構あるんです。そういうものが出てくるとこの問題に敏感になっていけるんです。


――小西さんの場合、現在、職場や周りを見てどうですか。

まだまだですよね。マスコミだって男社会ですよね。だから変えていかないといけない。やっぱり一人ひとりが身近なことから考え方を変えていくことが、ジェンダー平等や多様性尊重の社会をつくっていく追い風になると思っています。


【the SOCIAL opinionsより】