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2分解説「北方領土の日」今年は変化が?

2019年2月7日 17:16
2分解説「北方領土の日」今年は変化が?

7日は「北方領土の日」。安倍首相は北方領土の返還を求める大会に出席し、領土問題解決に向けた決意を改めて表明した。「北方領土の日」の行事の内容に、今年は変化がみられたという。政治部の渡邊翔記者が解説する。

例えば「大会アピール」も、去年までは「北方四島が不法に占拠された」と明記されていたが、今年は変わって無くなった。さらに、北海道根室市で行われた住民大会でも、参加者の鉢巻きの文言が例年の「返せ!北方領土」から「平和条約の早期締結を!」と言ったソフトなものに変わっていた。日本側にはロシアを刺激せずに領土交渉を前に進めたいという思いがあることは間違いない。

安倍首相はいま、「日ソ共同宣言」を基礎に歯舞群島と色丹島の2島の返還を優先して、交渉していく姿勢。安倍首相はプーチン大統領との親密さをアピールしていて、政府関係者の話を総合すると、かなりの「手応え」をつかんでいるのは確かなようだ。

しかし、ロシア側は実は厳しい姿勢を崩していない。例えば、日本は北方領土は「日本が主権を有する」という立場だが、ラブロフ外相は、いま現在、北方領土はロシアの主権下にあることを認めるよう求めている。日本政府内には「首相が前のめりに見える」という心配の声もあがっている。なぜなら、3年前にも領土問題が進む機運が高まったものの、その後大きく動くことはなかったからだ。

2016年の日露首脳会談では、「新しいアプローチで問題を解決する」ことで合意し、安倍首相は成果を強調した。しかしロシア政府関係者からは、「日本はこの合意を大々的に扱いすぎだ」という冷ややかな声が聞かれたそうだ。

今回も期待のしすぎは禁物という見方は根強くある。まさにここからが正念場だ。