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被災地・南富良野、失わない「希望と再生」

2016年11月17日 18:02
被災地・南富良野、失わない「希望と再生」

 今年8月末、台風10号の被害に遭った北海道・南富良野町。諏訪中央病院・鎌田實名誉院長は先月末、現地を訪れ、住民の方々に話を聞いた。住民は悲しみの中にも「希望」と「再生」を失っていなかった。

 台風10号の影響で氾濫した空知川沿いのビニールハウスでミニトマトを栽培していた農家の鳥羽光生さん(44)、美和さん(51)夫妻は、水害で全てのビニールハウスを失った。

 10年前から南富良野で農業を始めたという鳥羽さんは、ビニールハウスで育てたミニトマトのジュースを販売していた。

 鳥羽さん「だんだん販路も広がりつつあって、今年は飛躍の年になるかなと思っていた矢先なので」

 ただ、鳥羽さんは復興に向けて力強い言葉を聞かせてくれた。

 鳥羽さん「元々、何もないところからスタートしたので、それを思えば、また一から始めればいいのかなと。そういう気持ちもあるので、それほどめげてないというか、もう一回何とかやってやろうと」

 鳥羽さんの作ったジュースは、1本で120個ものミニトマトが使われている。今年は販売できる状態ではないということだが、来年には復活させたいと強い思いを語ってくれた。

 美和さんは「前向きな夫の気持ちを周りの方々が支えてくれると思う」と話していた。

 被害にあったのは畑ばかりではない。氾濫した川の水は住宅街にも流れ込んだ。

 自宅が床上浸水の被害に遭った松村ケイ子さん(69)は、水浸しの家を見て落ち込んでいたという。当時はあまり食事も喉を通らなかったが、そういった気持ちの面を救ってくれたのはボランティアだったという。

 松村さん「ショックが大きくて、この場から、いなくなりたいと思いました。それでもすぐにボランティアがいらっしゃって、畳とか全部運んでくださったり、掃除してくださったりして、またこの家で住んでみようって」

 松村さんは趣味で押し花を使ったアート作品を作っていたが、今回の水害でほとんどが水につかってしまったという。ただ、その中で奇跡的にぬれずに助かった作品があった。

 松村さん「実は十何年前にイラクで戦争が起きたときに、『希望』という名前を付けて、『平和が来ますように』と思って作った作品だったんですけど、また新しい花で作り替えもできるので、自分の中では『再生』だなと」

 鎌田さん「災害があったけど、また希望がね。きれいな南富良野が戻ってくるように希望と再生を信じたいですね」

 松村さん「信じたいです。私も皆さんの力で立ち直らせてもらったんですけど、みんなで支え合って立ち直って町がきちんとなればいいなと思う」

 被災地の再生に向けて頑張っている人たちがいることを、私たちは忘れてはいけないと思う。