×

男女入れ替わる結婚式『むじなのむかさり』

2016年11月14日 2:01
男女入れ替わる結婚式『むじなのむかさり』

 花嫁は「男性」、花婿が「女性」。男女が入れ替わり結婚式をあげて町を練り歩く山形県村山市の奇習「むじなのむかさり」が行われた。

 地域によっては「きつねの嫁入り」とも言われる「むじなのむかさり」。山形県村山市の楯岡馬場地区に100年前から伝わる行事で、子孫繁栄や豊作を祈るもの。

 夫婦役は、当日まで地元の人たちにも秘密にされる。花嫁に選ばれたのは地元で暮らす学生・村岡朋弥さん、花婿に扮(ふん)するのは鮭川村出身の会社員・冨樫麻奈美さん。冨樫さんは、友人を通じてこの行事を知り、花婿役を射止めた。2人は、カメラのフラッシュを浴びなから緊張した表情で三三九度の杯を交わした。

 仲人やきつねのお面を着けた子どもたちに先導されながら、2人が町内を練り歩く。たいまつの明かりで幻想的な姿が浮かび上がる。

 花嫁役・村岡朋弥さん「子どもの頃に、たいまつを持つ役からずっとこの行事を見ているので、いよいよ自分も花嫁になる時が来たんだなと感じている」

 花婿役・冨樫麻奈美さん「初めて参加したが、普通に生活していては経験できないことなので、非常にいい経験になった」

 行列が通ると、沿道からは「花嫁さんは背が高いな」「花婿さんはりりしい」などの声が上がっていた。

 見物客「毎年来ているが、天気もよくて、花嫁もとてもきれいでよかった。11月の最初の日曜日、毎年、楽しみにしています」

 神社のある山を目指して登るたいまつ行列。遠くから見る温かい光の連なりは、「きつね火」のような雰囲気を醸し出していた。