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原発どうする 建設計画で揺れる町

2015年2月13日 21:34
原発どうする 建設計画で揺れる町

 私たちは今後、どのぐらい原発に頼るのか?将来のエネルギーの割合を決める大事な会議が13日に開かれた。この議論は新たに原発をつくるかどうかにもつながる。原発建設に揺れるある町を取材した。

 瀬戸内海に面した町・山口県の上関町。人口は約3300人、その6割近くは65歳以上と過疎と高齢化が進む町だ。そんな町に去年12月、道の駅がオープンした。大型スーパーやコンビニの無い上関町では、地元の住民にとっても貴重な買い物の場所となっている。

 さらに道の駅の隣では、公会堂や図書館を備える総合文化センターの建設が進んでいる。こうした施設をつくるお金、実は、そのほとんどがいわゆる「原発マネー」、原発の計画が進む自治体へ国が渡す特別交付金で賄われている。

 上関町では、中国電力が“新規の原発”の建設を計画している。上関原子力発電所の計画が持ち上がったのは今から33年前。以来、町は賛成と反対の意見で分断されてきた。

 その一方、町には国からこれまでに約75億円、今も年間約7000万円ほどの交付金が支払われ、公共施設の建設や住民サービスにあてられてきた。しかし、福島第一原発の事故後、事態は一変。2009年に始まった建設準備工事は中断となった。

 上関町で呉服店を営み、原発推進の活動をしている古泉さんは、町の将来に不安を抱いている。

 上関町まちつく連絡協議会・古泉直紀事務局長「だんだん人口もなくなっていって、上関町を維持していくのも難しくなっていくんじゃないか」

 町の行く末を左右するのは、政府が今後、原発の新設を認めるのかどうか。その行方を占う重要な会議が13日に経済産業省で開かれた。福島第一原発の事故以前には、原発は発電量の約3割を賄っていた。しかし現在は稼働する原発は無く、ゼロの状態。原発の運転期間は原則40年とされ、今後、「廃炉」になる原発も増えてくる見通し。会議は、2030年の原発割合をどの程度にするか決めるもの。その為、今回決める原発の割合によっては原発を新たにつくる必要性も出てくるのだ。

 上関原発の建設に反対する住民も、こうした議論の行く末を注目している。

 原発建設予定地から海を隔ててわずか4キロの場所にある祝島。住民の約9割が原発建設に反対しているという。中村隆子さん(84)は、15歳のころからこの島で暮らしている。小さな倉庫から取り出したのは、古びたのぼり。原発建設の話が浮上してから33年、一貫して反対運動を続けているという。

 日が暮れた後、再び港へとやってきた中村さん。そこに、続々と住民らが集まってきた。実は祝島では、原発建設に反対する住民らが、毎週、デモを続けているのだ。この日で、1212回目になるというデモ。回数を重ねた分、参加者の高齢化も進んでいる。

 中村隆子さん「私の命がある限り反対します」

 国の原子力政策に翻弄(ほんろう)され続ける上関町。政府は、夏をメドに将来の原発比率を決める方針。