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スマホを武器に森林守るブラジル先住民族

2012年6月21日 13:35

 環境と開発を話し合う国連の国際会議「リオ+20」がブラジル・リオデジャネイロで開催されている。弓矢ではなく、スマートフォンを武器に、森林を守るために立ち上がった先住民族を、土屋拓記者が取材した。

 伝統的な髪飾りをかぶって森林保護を訴えるブラジルの先住民族・スルイ族のアルミール首長は、「リオ+20」にあわせて開催されている様々なイベントで引っ張りだこになっている。

 アルミール首長「(IT技術は)森林を伐採しているエリアを把握するのと同時に、生物多様性に関する情報を把握する道具にもなるのです」

 スルイ族が暮らすアマゾンは、違法な森林伐採などで破壊され続けていた。危機感を持ったアルミール首長は07年、インターネット関連企業「グーグル」との連携を始め、最先端の技術で森林を守ることを決めた。先住民族とスマートフォンという意外な組み合わせだが、部族内では当初、抵抗感もあったという。

 アルミール首長「部族内では、『技術は私たちの文化を滅ぼしてしまうのでは』という反応でした」

 しかし今では、若者を中心に、衛星写真で森の状況を空から監視し、さらにスマートフォンで違法伐採の写真を撮影し、環境団体などに告発している。その結果、違法な森林伐採は徐々に減ってきているという。

 アルミール首長「私の夢は、将来、森が経済発展のために重要な役割を果たすことです」

 弓矢からスマートフォンに持ち替えた先住民族。行き過ぎた開発から森を守るための戦いはこれからも続く。