認知症でも 働くことで社会とのつながりを

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福岡2021.07.13 18:05

福岡市に認知症の人だけが参加できる日本初の人材バンクが設立されました。活躍の場を得たこちらの女性は、仕事を通じて社会とのつながりと生きがいを実感しています。

福岡市に住むノブ子さん・73歳。10年ほど前に認知症と診断されました。

道順を忘れてしまうため、仕事に行く際は福岡市の委託を受けたパートナーが付き添います。

ノブ子さんは福岡市東区の宮脇書店で、月に1回、2時間働いていて、本の整理などを任されています。

■ノブ子さん
「何か目的をもって何かをするというのは違います。張りもありますしうれしいです。月1回のこの日を待ちわびて来ています。」

宮脇書店では今回初めて認知症の人を雇用しました。

■宮脇書店アイランドアイ店運営者・名越弘樹さん
「不安はあったんですけれども入られる前に面談して、事前に症状とか特徴を把握することが大事かなと思っています。黙々と仕事をしていただいて、いろいろわからないことは積極的に聞いてくださるので我々としては安心してお仕事していただいています。」

ノブ子さんと宮脇書店をつないだのは、福岡市が全国で初めて設立した「オレンジ人材バンク」です。

福岡市の委託を受けたコーディネーターが、認知症の人と参加企業を仲介し、働く場を紹介したり、商品開発の際に意見を聞くなどします。謝礼として賃金や企業の製品などが渡されます。

オレンジ人材バンクのアドバイザーの内田直樹医師は、認知症の人にとって「働くこと」は大きな意と話します。

■医療法人すずらん会たろうクリニック・内田直樹院長
「特に認知症で生活で失敗が増えてそれまであった社会とのつながり人とのつながりを失っていく方が多いわけですが、人とつながっていることがその人を健康にして長生きにすることもわかっていて。」

一方で、新型コロナによる生活スタイルの変化が認知症の増加に拍車をかけると危惧しています。

■日本老年精神医学会専門医たろうクリニック・内田直樹院長
「移動自粛、ステイホームそれによって、ただでさえ少なかった社会とのつながりがコロナウイルスの拡大でより減っていて、認知機能の低下と足腰が弱っているというのがアンケートですでに示されていて大きな課題となっています。」

去年10月から書店で働き始めたノブ子さん。この日は、本にフィルムを貼る仕事も任されました。分からないことは自ら聞きその都度メモに書き留めるようにしています。フィルムをきれいに貼るのに集中力と丁寧さが求められます。

■ノブ子さん
「これはちょちょいのちょいに見えるでしょう。でも透明でちょっと油断したら接着面にしわが出るんですよね。だから常に緊張するからいまの私にはとってもいいです。うふふ。こういう場面は日常生活にないからですね。」

ほどよい緊張感をもって集中する時間はノブ子さんにとって心地の良いものになっています。そんなノブ子さんに店側も寄り添っています。次の仕事を頼むときは前の作業が一段落したタイミングを見計らいます。

■店長
「もしよろしければ、こちらもお願いしても大丈夫ですか。」

ほんの少しの心がけで認知症の人安心して働けるのです。

■ノブ子さん
「仕事ができると話をいただいた時のびっくりとうれしさ、今の私にできることは何でもしてみたいというその一言です。どんなことでもいいから精いっぱいやってみたいと思いました。」

■ノブ子さん
「本当に狭くなりつつあった視野がぱっと広がったような感覚もあるし、外に出るというのは忘れかけていたものを、こういうこと、こういう感情を私は忘れていたと思う時いっぱいありますね。」

認知症になっても働ける場所がある。認知症によって家にこもりがちだった日々に喜びと生きがいが生まれています。

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