シリーズ「それでも、前へ」地ビールで元気を!
シリーズでお伝えしている「それでも、前へ」コロナに翻弄されながらも前に進もうとする人々の姿を追います。きょうは北九州市で地ビール工房を経営する女性です。長年愛されてきた地ビールで
地元を元気にしたいと奮闘しています。
グラスに注がれるクラフトビール!
■客
「おいしい」
北九州市小倉北区のビアレストラン「門司港地ビール工房」です。
新型コロナの影響でそれまで営業していた店をたたみ、規模を縮小して去年12月にオープンしました。飛沫防止のパーティションや客がスマホから注文できるシステムを導入するなどコロナ対策を徹底しています。
店を経営する宮本桃子さん(38)です。
■宮本さん
「まさか門司港を閉店するなんて思っていなかった事態でしたのでとてもさびしいし、残念な思いもあったんですけど。ここで、一念発起してがんばりたいなという気持ちで一杯です」
1998年にオープンした「門司港地ビール工房」は北九州市で唯一、ビールの醸造所を持つレストランとして親しまれてきました。
しかし去年、新型コロナの影響で予約はほぼゼロに。製造したビールが出荷できない状況が続きました。
宮本さんはビールの醸造所だけを残して22年間営業してきたレストランを閉める、苦渋の決断をしたのです。
■宮本さん
「多大の影響を受けまして生き残れるかどうかというところを考慮した…」
■常連客
「びっくり」「ここでビール飲むのが楽しみだった」
従業員40人は解雇せざるを得ませんでした。席数を4分の1に減らした小さな店で再出発です。
年が明け…新たな挑戦が始まりました。
宮本さんの地ビール工房はサッカーJ2ギラヴァンツ北九州とタッグを組むことに。コロナ禍での中断など苦しかった昨シーズン、ギラヴァンツは一時首位に立つなど健闘し、市民に勇気を与えてくれました。そんなギラヴァンツとコラボしスタジアムやお土産として販売する新たなビールをつくろうというのです。
その名は「ギラヴァイツェン」
■宮本さん
「コロナで大変な時期、うちもギラヴァンツも地域の人たちも元気になるビールが作れれば」
この日、ギラヴァンツの女性サポーターを集めて試飲会が開かれました。味の違う3種類のビールを飲んでもらいます。
■宮本
「3つの中でどれが好きでしたか?」
■サポーター
「(好きなのは)フルーツ・かんきつ系みたいな感じのビール」
原料となるホップの種類や配合によって風味が変わるビール、サポーターの声を生かしたいと考えています。
■サポーター
「ギラヴァイチェンって特別感がないと女性はわざわざ買わない。」「見た目に特別感があったら、せっかくスタジアム来たから買おう(となる)。」
■峯松幸之助醸造長
「味もですが、演出や見た目も重要」
プロジェクトが動き出したまさに、その矢先でした。
■菅首相
「緊急事態宣言の対象に7つの府県を追加することを決定いたしました」
福岡県にも再び緊急事態宣言が出され、飲食店は時短営業を余儀なくされたのです。お酒の提供は夜7時まで。店の予約は再び入らなくなりました。
■宮本さん
「まさかこんなことになるなんてって新たな気持ちでスタートしたばかりだったので、正直ちょっとショックは大きいですけれども今は、耐え忍んで乗り切りたいと思います」
先行きが不透明ななかでコラボビール「ギラヴァイツェン」の仕込みが始まります。
さわやかな口当たりを目指してホップの香りを最大限生かすためホップを入れるタイミングを2回に分けます。これまでにないこだわりの製法です。ラベルのデザインもサポーターから募集し70を超える応募がありました。
■宮本さん
「すごい うちのビールを意識してくれてる」
ギラヴァンツの選手も選考に参加しました。そして…
■宮本さん&峯松醸造長
「いい…狙い通りの華やかさがあって…香りとすっきりとしてて飲みやすい…テーマにしてたので…」
きのう「ギラヴァイツェン」の完成を北橋市長に報告。
ギラヴァンツの開幕戦となる今月27日に合わせて発売されます。
■宮本さん
「たくさんの人の思いが詰まった私たちだけではできなかったビール。その思いを届けて元気になってもらいたい」
コロナ禍の苦境でもあきらめない、ピンチをチャンスに変えて地元を元気にしたい、宮本さんの挑戦は続いています。
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