養殖に資源保護 県産サクラマスはいま…

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富山2020.11.12 19:06

 こちらは、ます寿司にも使われる魚「サクラマス」です。かつては神通川や庄川でも数多く見られたといいますが、いまは数を減らし、貴重な存在となっています。このサクラマスの養殖技術で入善町と近畿大学などが11日、ある成果を発表しました。県の名産を支えるサクラマスをめぐる取り組みを取材しました。

 笹島入善町長
「なんかしっとりしとるね…おいしい」

 皿に並んでいるのは、町の施設で育った「サクラマス」です。入善町では2016年から、近畿大学水産研究所などと協力してサクラマスの陸上での完全養殖に取り組んできました。その成果が…

 近畿大学水産研究所富山実験場 家戸敬太郎場長
「入善町の海洋深層水と、夏場でも低い温度で飼育できるという、これを組み合わせることができた結果、非常に大型のサクラマスを作ることができた」

 海洋深層水と近畿大学の技術で、これまで2キロ程度だったサクラマスを5キロ程度にまで成長させ、年間を通して出荷できる技術を確立しました。

 入善漁業協同組合 車正利理事
「町の魅力の一助となることを大いに期待している」

 笹島町長
「成長戦略の柱として、地域経済の活性化に資する」

 サクラマスは、川で育ったヤマメが海に下り、再び川に戻ってくる回遊魚です。ます寿司の原料として、かつては県内の川で多く漁獲されていました。しかしそれも今は昔。今では県の準絶滅危惧種に指定されています。

 資源復活に向けた動きは、以前から始まっています。滑川高校海洋科では、前身の海洋高校時代からサクラマスの飼育に取り組み、実績を重ねています。

 また射水市も、入善町に先駆けて完全養殖事業に取り組み、「いみずサクラマス」の名前で売り出しています。養殖の取り組みが進む一方、自然界での資源保護の動きはどうなっているのでしょうか。

 やってきたのは、富山市の熊野川上流。水産研究所では3年前から、神通川水系のサクラマスを重点的に調査しています。

 「こういう水通しのいいところで産卵するんですけど」

 サクラマスが産卵のために戻ってくるのは、例年10月下旬から11月上旬。いつもならば産卵の様子がみられるのですが、この日は、産卵の跡は確認できたものの、サクラマスの姿はありません。

 県水産研究所 田子泰彦所長
「3年前の10月に台風等があったと記録にあるのでひとつにはその要因があると思います」

 サクラマスが海へ下り、再び川に戻ってくるまでは3年かかると言われています。その、3年前の10月。県内は超大型の台風に見舞われていました。田子所長はこの台風が、ことしのサクラマスの数に影響しているとみています。

 田子泰彦所長
「産卵しているとき、または産卵したあとに増水で産卵床が流される、出水で流される、土砂が埋まって水の流れが悪くなって窒息するなど、大きな影響がある」

 明治時代には年間160トンの水揚げがあった天然のサクラマス。それが1980年代には10トン程度となり、近年は1トンを下回るのがほとんどです。

 時代とともに環境が変わり、ふるさとの川に遡上できないなど激減の要因は様々考えられます。

 田子泰彦所長
「早めに親魚をこういういい環境を作って放つ、あるいは親を早めに卵を産ませたものを(川底に)埋めると。放流も一部保険として必要だが、本当は多くはこういう自然の川でふ化して育って、そういうのが帰ってきて、それでサクラマスが増えるというふうになればいいと思っているので」

 名産を支えてきたサクラマス。再び富山の川に戻す取り組みが続いています。

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