被害者家族が被告面会の男性と対話

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富山2020.10.07 19:03

 神奈川県相模原市の障害者施設で入所者ら45人が殺傷された事件から4年がたちました。被害者の両親がこのほど富山を訪れ事件を起こした植松聖死刑囚に去年、面会した障害のある男性と話しました。語り合ったのは、障害者に寄り添う社会への強い願いです。

「こんにちは、はじめまして」

 神奈川県横浜市に住む尾野剛志さん(76)、チキ子さん(78)夫妻です。訪ねたのは、富山市に住む八木勝自さん(66)の自宅。

 八木勝自さん「本当にびっくりした」

 尾野剛志さん
「僕たちの事件、すごく心配していただいて。今ね、涙が出てくるぐらい感動しています」

 2016年、神奈川県相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で起きた殺傷事件。真夜中の施設で入所者19人を殺害し、職員を含む26人に重軽傷を負わせたとして元職員の植松聖被告はことし3月、裁判で死刑判決を受けました。

 入所者のひとりだった尾野さん夫妻の息子・一矢さん(47)は、首や腹を刺され、一時は意識不明の重体となりました。尾野さんは、以前、津久井やまゆり園の家族会会長を務め、被告が施設で働いていた頃の様子を知っていました。

 尾野さん
「植松は、最初はすごく穏やかだったし良い職員だったし、こういう事を起こす人間だとは思わなかったし」

 八木さん
「生活の拠点としては(施設は)必要だと思っている。しかし、開かれた施設じゃないとあのような事件が起きてしまう」

 今回、尾野夫妻は、石川県での講演活動などに合わせて富山市在住の八木勝自さんを訪ねました。八木さんは、脳性まひのため、体に重い障害があります。

 かつて自分が入っていた施設と同じような場所で起きた事件を他人事とは思えず、去年、植松被告に直接話を聞こうと、手紙を出し、横浜拘置支所へ面会に行きました。その面会をKNBは同行取材し番組で再現しました。

 八木さん「障害者は殺される権利はないんです」

 植松被告「僕は人間だと思っていません」

 (植松被告の手紙の一文)
「意思疎通の取れない重度障碍者は安楽死すべきと考えております」

 裁判でもその主張は変わることはなく、死刑判決が確定しました。

 尾野さん「やまゆり園事件の本質、施設としてのあり方、職員としてのあり方、全部つまびらかにしていかなきゃいけないと思う」

 尾野さんは、事件をきっかけに息子・一矢さんの将来を見つめ直しました。

 重度の知的障害と自閉症のある一矢さんは、20年以上、施設で
暮らしてきました。しかし、障害がありながらも地域で暮らす人たちの事を知り、一矢さんは、先月から、介助者が交代で見守りをする重度訪問介護制度を使って1人暮らしを始めたのです。

 尾野さん
「本人の心で感じるようにしようと思って(親が)動いたのが、一矢は理解してくれた」

 八木さん「介助者も良かったんだと思います」

 尾野さん「そうですそうです」

 事件から4年。判決から半年。死刑が確定した今、報道される機会も減りつつあります。

 尾野さん
「自分たち生きている間に、障害を持った人たちが少しでも豊かに穏やかに、誰に後ろ指刺されるわけでもなくてね、本当に暮らせる世の中にならないといけないって。そのために少しでも僕らが役に立てればいいなと思って、今活動していますけど、八木さんだって同じだと思うんですよね」

 どんな障害があっても命は等しく尊い。その当たり前のことをもう一度、みんなで考えてほしい。それが、尾野さん、八木さんたちの思いです。

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