島津被告 初公判で検察側と弁護側は…

この記事をシェア

  • LINE
富山2021.01.14 19:54

 14日の法廷で島津被告は本当に黙り続けたままだったんですか?

 裁判は、法廷にいるのが被告人で間違いないかを確認する人定質問から始まります。裁判長から「名前はなんと言いますか」と問われた島津被告は、何も答えず、およそ30秒間法廷は異様な静寂に包まれました。裁判長は、合わせて3回名前を尋ねた後、生年月日、住所、仕事について、被告が答える時間をとりながら聞いていきました。

 開廷からおよそ5分間。一切口を開かない島津被告に対して裁判長は、「被告人聞こえていますか。もう一度、お尋ねしますが名前はなんと言いますか」と聞きます。

 それでも話さなかったことから、裁判長ら裁判官3人で相談し、検察側と弁護側に、被告人で間違いないかを確認してから、その後の手続きを進める異例の展開となりました。

 被害者参加制度を利用して裁判を傍聴していた警備員の中村信一さんの妻は、何も話さない島津被告の横顔をじっと見据えていました。

 初公判を前に、中村さんの妻は島津被告には「聞かれたことについてすべてを語ってほしい」と話していましたよね。

 中村さんはやりきれなさを感じているように見えました。

 被告がこのまま黙秘を続ければ、動機など事件の真相解明が難しくなる印象を持ちますね。

 14日の裁判で被告は、起訴内容についての認否も話していません。

 ここからは、検察側と弁護側の主張から、動機や事件に至る経緯、争点についてみていきます。まず、裁判の争点は、強盗殺人罪が成立するかどうかと量刑です。

 弁護側は、島津被告が稲泉警視を殺害したあとに拳銃を盗もうと決意したとして、強盗殺人ではなく、殺人と窃盗の罪が成立すると主張しました。

 これに対し検察側は、被告が、拳銃を持っている制服警察官がいる交番を襲撃して稲泉警視をナイフで刺し殺し、その2分後に、拳銃を構えて交番内に入っていると指摘。さらに、一般人には目もくれず、警察官と見間違えた警備員に発砲していることなどから、拳銃を奪う目的で襲撃したことは明らかで、強盗殺人罪が成立すると主張しました。

 次に、検察側も弁護側も認める島津被告の精神障害についてです。弁護側は、島津被告が、自閉症スペクトラム障害で共感力と想像力が欠如していることが、事件に深くかかわっていると主張しています。

 島津被告は、幼いころから団体行動が苦手で、中学に入るといじめを受けて母の前で「死にたい」と涙を流して不登校になり、家庭内暴力を振るうようになった。精神科を受診するも警察と保健所に相談するよう促され具体的な支援はなかった、としました。

 そのうえで、社会に適応できずに孤立した結果、想像力が欠如した島津被告は先のことを考えずに「自暴自棄になり、自分より強い武器を持つ相手と戦う」ために犯行に及んだと主張しました。

 これに対し、検察側は、被告に精神障害は認められるが、犯行への影響は限定的で、酌量すべき事情は認められないとしています。

 当初、検察側と弁護側が別々に精神鑑定を行ったことから刑事責任能力も争点になるとみられましたが、そのあたりはどうなんでしょうか。

 14日の裁判では争う構えはみられませんでした。

 14日の初公判で、検察側は強盗殺人を主張した一方、弁護側は殺人と窃盗が成立すると主張しました。これで量刑は変わるんですよね。

 強盗殺人罪が死刑か無期懲役なのに対し、殺人罪は、死刑または無期懲役、もしくは、5年以上の懲役とかなり広く取られています。弁護側は、殺人と窃盗の罪の成立を主張し、検察側に対し被告に拳銃を奪う意思が最初からあったことを検証明する責任があると指摘しました。

 さらに、島津被告の生い立ちや精神障害の影響を強く訴え「今後の『療育』次第では、更生の余地があり、責任を被告にだけは負わせられない」と主張していて、死刑を回避しようとしているものとみられます。

 私も傍聴しましたが、島津被告が何も語らないことから一般市民から選ばれた裁判員は、かなり難しい判断が迫られると感じました。いっぽうで、裁判員は証人尋問で証人に質問するなど積極的に裁判に参加していると思いました。

 被害者の中村さんの妻は「被告が何も語らないことは少し予想していた。今日と同様に公判に出廷し島津被告の動向を見ていきたい。この後の流れの中で被告の口から事件について語られることを望みたい」と話しました。

 富山地裁の裁判員裁判で、初めて死刑判決が言い渡される可能性がある島津被告の裁判は、今月29日に被告人質問が行われ来月4日に結審。判決は3月5日に言い渡される予定です。

見出し、記事、写真、動画、図表などの無断転載を禁じます。
当サイトにおけるクッキーの扱いについてはこちら
『日テレNEWS24 ライブ配信』の推奨環境はこちら

最新ニュース