
大阪・ミナミの一部 路線価初めて「補正」
新型コロナウイルスの影響は土地の価格にも及んでいる。国税庁は、大阪・ミナミの一部地域で地価が大幅に下落したことを受け、相続税などを算定する基準となる路線価を初めて減額し、補正すると発表した。 新型コロナの打撃を受ける大阪・ミナミの道頓堀。今回この地域が全国でも初めての路線価の減額修正の対象になった。26日に発表された去年の路線価の減額補正。対象となったのは道頓堀1丁目などミナミの3つの地域で、4%減額される。 路線価は、相続税や贈与税を算定する基準となる価格で、毎年1月時点の地価の8割程度に設定されている。しかし、去年は1月以降に新型コロナの感染が拡大し、地価が大幅に下落。一方で路線価はそのままなため、実際の地価と乖離が出ていた。 路線価は地価の8割程度が目安。たとえば、去年1月の時点で地価が1000万円、路線価が800万円と評価された土地の場合、実際の地価が路線価の800万円を下回ると、税額が本来より高くなってしまう。このため、国税庁は納税者に不利益が生じないよう、路線価を引き下げる減額補正を決めた。 補正は大規模災害を除けば、制度が始まった1955年以来、初めて。 今回、路線価の補正の対象となったのは全国でミナミだけ。専門家はその理由について、外国人観光客をターゲットにしてきたことが関係していると分析する。 不動産鑑定士の山内正己さん「かなりインバウンドに依存したところで期待値も高まっていた。令和2年から渡航制限でインバウンド需要が消滅したというところで、ミナミ地域のホテル、飲食、観光、この辺がすべて売り上げが大きく下がってしまった。(コロナ収束による)回復が見込めないというところが大きく影響している のかなと」 新型コロナの感染拡大前は、外国人観光客を中心に多くの人でにぎわっていたミナミの街。今は、空き店舗が目立ってきている。道頓堀商店会は店を閉める事業者が相次いでいるという。 道頓堀商店会の北辻稔事務局長「全体で撤退した店が12店、今休業中が15店。100会員くらいいますから、もう25パーセントくらいの店がオープンしていないという、商店街も店がこんなにしまっている状態というのは初めてで」 道頓堀商店会では、この1年間で約100の事業者のうち、12店が撤退し15店が休業。4分の1の店が営業していない。 (Qこちらテナント募集と書いてあるが、ここの店も撤退?)「去年の秋に撤退したんです。大きな薬屋さん(ドラッグストア)でしたが、そのあと決まるかなと思ったけど、まだ決まっていないということですね」 (Qこれまでテナントいなくなって次が決まらないことは?)「(これまでは)撤退すると即、次の日から新しい店が入っている。こういうテナント募集という張り紙、僕は見たことないですね」
大阪
2021.01.26 19:39