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唯一の歌舞伎専門誌『演劇界』休刊へ

2022年1月11日 19:34
唯一の歌舞伎専門誌『演劇界』休刊へ

小学館は11日、歌舞伎専門誌「演劇界」が3月3日発売の4月号で休刊と発表しました。コロナ禍で劇場が閉じていた際には、歌舞伎俳優117人の思いを掲載するなどして話題となり、過去最高の売り上げを記録していました。

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■100年以上の歴史と伝統に幕

「演劇界」は戦時中の昭和18年に創刊され、第二次世界大戦後の昭和25年に復刊して以降、一貫して「舞台の記録」と「劇評」にこだわり、現在では唯一の歌舞伎専門雑誌として発刊を続けてきました。

明治40年に創刊された「演藝画報」の流れをくむ雑誌でもあり、100年以上の歴史と伝統を誇ります。

コロナ禍で劇場が休館していた2020年5月に発売された6・7月の合併号は、歌舞伎役者総勢117名のメッセージと個人写真を掲載するなどして話題を呼び、過去最高の1万2800部を売り上げたといいます。ファンの間では“永久保存版”とされています。

■急速な変化に継続困難「断腸の思い」

しかし、長きにわたり愛されながらも、苦渋の決断をした背景には「環境の急速な変化」があったといいます。“読者の高齢化”と“出版界のデジタル化”が進み、新規読者の獲得が見込めず、紙媒体による発刊の継続が難しくなったということです。

発売元の小学館と、発行元の演劇出版社は、「100年以上の歴史と伝統に終止符を打つこととなりましたことは誠に断腸の思いではありますが、昨今の社会情勢及び出版界を取り巻く環境の急速な変化に雑誌発刊の継続が困難になりました」「長きにわたり『演劇界』にご支援賜りました皆様には、多大なご迷惑とご心配をおかけいたしますことをおわび申し上げますとともに、長年のご厚情に心より感謝申し上げます」とコメントしています。

写真:「演劇界」2022年2月号